住居から、不動産業を営むオーナーのオフィスへとリノベーション。既存の間仕切り壁をすべて取り払い、広いワンルームへ。撤去できない段差は床材を貼り分けアクセントにした。オフィスだがキッチンも完備。大きなテーブルを囲んでミーティングや、時にはパーティーも。南側の窓からは隣接する神社の大木の葉が影となり優しい日差しが入る。価値を失いかけていた部屋は、様々な人々が集まる“場”として再生した。物件名にもある“Deja vu”とは、そもそも同じリノベーションを2度行った為である。初めは2Fの1室からはじまった。抜群の立地やロケーションなど、空間の価値を見出したオーナーが、自ら区分所有の1室を買取り再生した。当初自身のオフィスとして使用していたが、外観から一目でわかる変貌ぶりに、道行く人々がショップと間違い訪ねるようになった。ある日、実際にお店として貸して欲しいとの依頼を受け、貸し出すことに。自らは、空いていた真上の部屋に移り、再度リノベーションした。ここもまた依頼があれば貸し出すという。自ら古い物件を再生し、社会へ還元する。そんな小さなリノベーションを繰り返しながら、徐々にビル全体の価値を高めていく。そして自然と建物周辺の街の価値が上がっていけば嬉しい。そんな期待を込めたプロジェクト。通りから建物を見ると下層階からやわらかい明かりが灯り、ビルが再生する過程がまるでバロメーターのよう。
BEFORE
熊本の中心市街地の好立地に建つ築42年の分譲マンション。隣接する神社の敷地には大きな樹木があり
部屋の窓からの眺めは街中を忘れさせるロケーション。しかし老朽化した外観や内装、昔の間取りからか空室が数部屋。今回はその内の一部屋のリノベーションから徐々に建物全体の価値を上げていく新たな再生の試みを行った。
