銀行という, とてつもなく大きな建物で, 家にはコストのかさむ動力電源や,金庫などの特殊で不要なコンテンツ満載の建物を, 家を建てる範疇の金額で 快適でライフスタイルを実現できる住まいにコンバージョンするという課題に取り組み 結果を出しました. 解体や処分を極力減らすために, 人が建物に寄り添い,柔軟なアイデアで使うことを, 施主が受け取ってくれたのも大きいと思います. オーナーからは, とても快適な住まいです, とお墨付きをいただきました.
大きいワンフロアーをそのまま使うことを提案しました. お風呂や寝るスペースは 建物中心に配置し,外壁面を回遊できるレイアウトです. 建物外周の広い窓からの日光と風をシェアする住まいです. 窓を変更したり,強固な建物の壁を解体する費用を極力押さえました. 動力エアコンの撤去,余分な大量のトイレの撤去はやらざるをえず, 残った費用は, 住まいとして楽しむために回したい,という思いからです. 普通ではない建物のポテンシャルを生かし, オーナーさんが思い描いていた暮らし方を実現しました. 時代の移り変わりと共に役割を終えた建物は負の産物ですが,上手く使いこなす用途を見つければ,社会的には省エネルギーになります. 今後とも,取り組んでいくリノベーション例になりました.
BEFORE
銀行として機能していた建物を,住まいへコンバージョンした. 銀行の営業所として,広い駐車場,金庫,夜間金庫,書庫などを備えた鉄骨・RC造の 大きな建物. 非常時発電機能もあり,災害時に対応できる堅牢なハードとソフトを備えた建物です.
合宿所のような家が欲しかったオーナー. 将来はサイクルカフェを開きたいというビジョンを見据え, ベストな立地と建物として選択しました.
銀行に住むという,初めは突拍子もない考えのように感じたが, 最近 銀行の統廃合, 支店の合併が進み, 建物が余っている. 今後, このような大型のハコの活用を考えていく時代だと感じ. 住まいにするという, 施主の自由な発想にきちんと向き合い, 形にしてみました. オーナーは柔軟に住みこなし, 希望のライフスタイルを叶えています.