メルヘン

築４４年の団地。壁式構造で各部屋は細かく区切られて閉鎖的。間取り変更の自由度が高くありません。
○取れない壁がある中でいかに空間のつながりを出すか？
○大きく張り出して圧迫感のある梁がある中でどのように居心地の良さを造り出すか？
が課題と考えました。
いわゆる買い取り再販売ではなく、所有権はオーナー様のまま先行的にリフォームし付加価値を創出して販売しようという取り組みです。まだ見ぬ買主様に喜んでいただくために、このお部屋の持っている力を最大限引き出すにはどうしたらよいかにフォーカスしました。

リノベーションのタイトルは【メルヘン】。団地特有の細かく区切られた構造の中で、取ることのできない壁や梁にむしろ意味を持たせて空間に溶け込ませました。海をイメージしてリビング床材にはエメラルドグリーンのカーペットを採用。キッチン側は無垢のフローリングで、カーペットとフローリングの境目を意図的にリビング側に寄せています。その他、小屋・船・砂浜・虹をモチーフとしたディテールを造り込み、その一つ一つは個性的でも全体的な統一感はある空間を目指しました。
また、用途を決めずにゆるやかにゾーニングされた空間を自由に使い、子どもたちが動き回れる暮らしを大人が眺めて過ごす。そのような「生活＝コト」をイメージしています。小さな子どもにとって家は世界そのもの。限られたスペースでも登ったり下りたり、走り回ったり、隠れたり。想像をふくらませられる住まいです。