中古住宅を購入したのは弊社の社員。住み替えのため自邸を施工することになった。気候変動、電気代高騰の中で、住宅性能が高くコストパフォーマンスが良い快適な家に住むために、自邸にて実験を行った。
間取りは大きく変えつつ既存の柱はなるべく抜かないことで構造材のコストを削減。断熱、耐震工事に予算を回し【Ua値0.23、上部構造評点1.66、C値0.8】まで実現することができた。
37坪の家にエアコンは2台。夏は2階の階段上、冬は1階玄関上で各1台ずつの壁掛けエアコンを稼働させ家全体を低燃費で冷暖房でき、猛暑が続いた8,9月も家全体25℃くらいで快適に過ごすことができた。
さらに、今後の可能性としてカーポートに太陽光パネルを8枚(3.64KWh)を載せ、引き渡し後毎月かかる光熱費をどのように考えるか、高性能な住宅でどう暮らしていくか身をもって実験中である
耐震、断熱工事で費用が上がる分は330万円(国交省+新潟市)の補助金を活用して予算に充てた。
高性能化のイニシャルコストは30年間の月々の電気代等のランニングコスト削減で回収できる。低燃費で快適な住まいは30年以降も続いていく。
ストック活用×高性能住宅×補助金の事例として、年中快適温度で、強い建物に、コストを削減しながら、リノベーションで叶うことを知ってほしいと願う。
BEFORE
築58年の木造住宅。必要以上に広いホールや廊下があり、今のライフスタイルに合わない和室の続き間があった。窓は断熱性能の低いアルミサッシ&単板ガラスで、壁内に断熱材はなし。夏暑く冬寒い、典型的な日本の古い住宅だった。また、多すぎる開口部は温熱上の弱点になっていただけでなく、必要な壁量も満たしておらず耐震面でも不安があった。
昭和39年に新築後、減築と増築を繰り返していた歴史があり、平成8年増築の部分は痛みが少なく、その際葺き替えられたであろう焼き瓦は非常に健全であった。そのため、屋根は葺き替えずに生かす選択をした。