玄関のから2階に上がると、目の前には横たわるモノリス。
部屋を横断するように造作したキッチンは、部屋に対して7°回転させている。
この階にはダイニングキッチンを軸に、洗濯スペース、パントリー、ダイニングカウンター、ダイニングテーブル、小上がりダイニング、リビングスペース、上下階をつなぐ階段と踊り場の、7個のスペースが集約されている。
この7つの機能を成立させるために、それぞれに必要な動線と通路幅を最適に計画するため、7°の傾きをつけた。
もともとシンクがあった排水位置を中心に7°回転させることで、建築を解体していないのが特徴。
水栓や食器洗浄機、ガスコンロにレンジフードなどの設備機器は再利用し、造作工事はシンプルに抑え、キッチンに組込んだIKEAのキャビネット組立てや壁面の本棚造作、カウンターやベンチの塗装まで、ご主人のDIYでプロと一緒に作っていく楽しみを体感。
「中古を買ってリノベーションして住む」という自由な選択が広まり、昨今は物件価格の高騰やリフォーム済み物件の増加から、フルスケルトンにしなくてもポイントを絞って部分的に改修していく事例が増えてきている。
このお住まいのように、新築やリフォーム済み物件を部分的にカジュアルに合理的にくらし改善ができるような潮流と、住まいに対する選択肢の広がりが楽しみである。
BEFORE
閑静な住宅街に建つ、木造3階建の新築戸建住宅。
マンションを探すも、条件に合う物件がなかなか見つからず、広さもエリア的にも良さそうな木造の建売を新築で購入。
建売と言えどペアガラスの木サッシを採用し、床は無垢の積層フローリングを使用、外壁にはサイディングなど既製品を使わず左官で仕上げられているなど、建売らしからぬ雰囲気があるお住まい。もちろんそのままでも住めるものの、2階にあるリビングダイニングは地型に対して家具配置が難しそう。
もっとうまく空間を使えないか?というモヤモヤを解決すべく、新築ならではのスペックを活かしながら、キッチンをメインとしたLDKの改修がスタートする。