Mid-Century House|消えゆく沖縄外人住宅の再生

戸建  /   エリア:沖縄県  /   掲載日:2022-09-17

戸建  /   エリア:沖縄県

掲載日:2022-09-17

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さらに50年、築100年まで現役で通用する住宅を目指しました。欠損した躯体コンクリートを補修し、特殊な繊維シートでコーティングしています。漏電の心配がある古い電気配線、給排水とガス配管は全て刷新しました。一方で、間取りは現代に通用するとして改変せず、内装もシンプルに仕上げて工事費のバランスを取りました。外人住宅の弱点でもある断熱は、屋根防水塗料に最上級の遮熱剤を使用、また天井付近に溜まる高温の空気層を排熱換気するシステムを採用するなど、沖縄の強烈な日照に対策を施しました。インテリアではバスルーム床材にヨーロッパ古建築のテラコッタを再利用、既存の照明器具をLED仕様に改造、建築当時のミッドセンチュリー名作家具(レプリカを含む)でコーディネートするなどして、リノベーションらしさを表現しています。外部と庭では鬱蒼とした樹木を伐採し、南国らしいパームツリーや屋外のバスタブで新たなランドスケープを作りました。本住宅はクライアントの住まいであると同時に、民泊および撮影用ハウススタジオとしても活用予定。当社はリノベーションだけでなく、その運営も受託します。これまで外人住宅が建築遺産として公に高い評価を受けてきたとは言えませんが、沖縄に残る近代建築として正当な評価をすべき時だと考えます。外人住宅が安易に解体されていく状況に警鐘を鳴らすとともに、本計画が他の住宅の再生モデルになれれば幸いです。

BEFORE


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米軍の住宅のなかでコンクリートブロック造の平屋で建てられたフラットハウスを沖縄では「外人住宅」と呼びます。外人住宅は米本国の一般市民の住生活様式を基本にしており、当時の沖縄は元より日本本土の一般的住宅と比較して、構造および床面積、そして間取りや設備において先進的な住まいであったと想像できます。一方で勾配が小さなフラットな屋根と、地面からの段差が小さい床スラブは、高温多湿の沖縄に決して適しているとは言えない住宅でもありました。そして建築後、半世紀を過ぎた電気や水まわり設備は完全に時代遅れになっています。また他の地域と同様に、居住者の高齢化や空き家問題は本住宅も例外ではなく、放置された敷地内の草木は鬱蒼として昼間でも室内が薄暗く、また住宅ローンが利用しにくい点から長期に渡り次の住み手が見つからない状態でもありました。いっそ解体してしまおう。そう考えても仕方ない状況でした。

Before

After

    • 部門
    • 1000万円以上
    • 間取り
    • 2LDK+Sto
    • 費用
    • 2000万円(税込)
    • 形態
    • 自由設計リノベ
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体 / 水まわり / 居室・その他 / 屋外 / 断熱改修 / その他
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)

物件情報


    • 築年月
    • 1967年11月
    • 構造
    • RCブロック造
    • リノベーション面積
    • 102.87
    • 施工期間
    • 6ヶ月
    • 備考
    • 設計監理/アートアンドクラフト 工事施工/アートアンドクラフト|バナナコンセプト(協業)