トマト専業農家として独立後10年を迎えた施主から受けたリノベ相談。
「自然と対峙し失敗を繰り返しながら、やっと苦労が実りようやく農家として軌道に乗ってきた。移住の地で家族と一緒に腰を据えて暮らしたい。家が家族の幸せと明日のモチベーションが上がる場所にしたい。」
相談内容のようにどっしりと、高々とそびえ九州を代表する名山「久住連山」を北に望み、南には宮崎県との県境「祖母・傾」山系が望める自然豊かな地、大分県竹田市の築後80年超の古民家が舞台。約380坪の敷地に母屋とガレージ、そして柊、菖蒲、山椒、南天、月桂樹、茶、無花果、梅、沈丁花、カボス、紫陽花、栗、柿、椿といった四季の移ろいを感じられる庭木が、家族に彩りを添える。
施主の亡き父親がいつか山小屋を建てたいと保管していた羽目板をリビングに全て使い、地元の松や欅、檜など木材が高騰する中で地元産木材に囲まれる恩恵と豊かさを享受。
工事期間中は敷地内にテントを張り満天の星空を眺めたり、庭先の柿や月桂樹を取って朝食を作ったり、施主家族と壁面塗りのイベントをしながら住み込み施工をし、豊かさを共有した。
BEFORE
戦前に建築された築後80年超の民家。和室続き間5室の母屋。約50平米超の元養蚕場の小屋裏。牛の居ない約120平米の元牛舎。ポテンシャルを秘めた不動産を見て、福岡県からこの地に移住して10年経った施主は永住を決断した。賃貸アパートに家族5人で住みながらトマト専業農家として汗を流し、これまで家族にかけてきた我慢と苦労を、リノベーションを通して家族に恩返ししたい。施主の熱い想いと家を支える地元松の一本梁、大黒柱の欅、檜など古き良き素材との競演が始まった。