駅前の商店街を抜けて住宅地の中にある公園を通り、小さな川を渡ると見えてくる、築51年の黄色いマンション。「非常口」と書かれた”エントランス”を潜ると、まるで板チョコのような、長年の時を刻んでこっくりとした赤茶色になった玄関扉が現れました。一見古くてちぐはぐな印象のマンションですが、一歩足を踏み込むと飛び込んでくる玄関扉が、タイムスリプしたような心地にさせてくれます。この扉は何もせずに活かしたいと思い、ランダムなバーチのフローリングにチェリーの建具、ステンレスキッチンを取り入れて、玄関扉と相性の良い内装に。もともと広い1Rだった部屋は、玄関にたどり着いた瞬間から、レトロなカフェを感じさせる使い勝手の良い1LDKになりました。
BEFORE
誰もが古さを感じるであろう外観に、エントランスと気づくには難しい扉が無造作に開いていおり、一体だれが住むのだろうと一瞬でも思ってしまう建物でした。しかし、エントランスを潜ればそこには、これまでの生活や時の流れが染み込んだ素敵な玄関扉が。それを活かさない手はないと思い、玄関扉はそのまま残しつつ、1Rで仕切りのない部屋は、プライベート空間を確保できる間取りへ。駅から少し離れ、公園で遊ぶ子供や地域の人の声が聞こえる穏やかな川沿いで、コーヒーを飲みながらゆっくり暮らすイメージを内装で表現しようと思いました。