二世帯化戸建エコリノベが拓く日本の未来

戸建  /   エリア:東京都  /   掲載日:2022-09-14

戸建  /   エリア:東京都

掲載日:2022-09-14

いいね!と思ったら、
ハートをクリック!214

renovation image

東京郊外ではバブル期の40坪超庭つき戸建を高齢単独世帯が持て余し、子世帯は都心マンション居住。いまだに核家族世帯を増殖させる1世帯1マイホームの価値観。その実は空き家を助長するばかりでなく、エネルギー効率も悪く、社会福祉的な観点からも望ましい状況とは言い難い。当プロジェクトではこの課題に対する一つの答えとして、ブルースタジオ大島芳彦が父の他界を機に、母のみが暮らすこととなった自らの実家において、郊外戸建の二世帯三世代居住化のエコリノベーションを実践した。開放的で大きな開口部が随所に施された原設計は熱損失が大きく外皮性能向上への試練となったが、原設計の意匠を継承しながらも6面断熱、全サッシの樹脂ペアガラス化を図り、換気方式も第一種全熱交換型とし、Ua値0.53W/㎡K、C値0.9㎠/㎡のHEAT20 G1を達成した。息子世帯4人が住む2階部分は大幅に間取りを変え、1階母世帯は母が80歳を超える高齢であること、またLDK部分は長年使い慣れた空間であることを鑑み、一旦キッチンを撤去した上で断熱工事をし再度復旧する工事を行なった。光熱費は高齢者2人で月当たり約7万から改修後2世帯5人で約3万円に圧縮され、ヒートショックによる健康被害も低減。エネルギーロスを減らすだけでなく、福祉課題を世代間で相互補完する二世帯三世代居住エコリノベモデルの普及は都市郊外が抱える社会課題への特効薬となり得る。

BEFORE


before image

バブル期に建築された東京郊外大型の庭付き戸建。当時の設計者は吉村順三に師事する最後の吉村スクール建築家・増田奏氏による築30年の住宅。特徴的な十字形の建物の隅には坪庭が配されており、東西に大開口で開かれた窓を持つリビング・ダイニングは緑のなかにそっと置かれているような内と外の一体感を感じることができる。都内の閑静な住宅街にいながらにして武蔵野の雑木林の原風景を思わせる緑豊かな庭は、当時の流れとは一線を画すような“枯れたよさのある”邸宅であった。開放的な開口部は特徴である一方、すべてシングルガラスのアルミサッシだったため冬の寒さは厳しい。こうした状況を想定して導入された床暖房や全館空調は、電気代が2人で月に約7万円かかってしまっていた。気温差による健康被害のリスクも懸念され、お母様のことも、また施主自身も老後に備えて断熱改修を行うこととなった。

Before

After

    • 部門
    • 1000万円以上
    • 間取り
    • 二世帯
    • 費用
    • 7500万円(税込)
    • 形態
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体 / 水まわり / 居室・その他 / 断熱改修 / その他
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)
  • 家具、インテリア、スタイリング

物件情報


    • 築年月
    • 1991年4月
    • 構造
    • 鉄骨造
    • リノベーション面積
    • 288.99
    • 施工期間
    • 6ヶ月
    • 備考