コロナ禍、旅行ができなかった分まで想いをつめこんで、憧れのグリニッジビレッジの記憶を辿るリノベーション。記憶の再現の手がかりになったのはFarrow&Ballの塗装。その風合いが気に入ったご夫婦は自ら着工前の壁に試し塗りを重ねました。そこで出会ったのが「ヘイグブルー(HagueBlue)」。深い海のように濃くどこか懐かしさやあたたかさを感じられる青色。「グリニッジビレッジで見た色!」奥さまに25年前の記憶が蘇ってきました。記憶を辿るパズルのピースが埋まっていきます。「ヘイグブルー」を軸に、リビングにはイギリスの校舎をモチーフにした少しくすんだ風合いの「スクールハウスホワイト」、ワークスペースには「グレー」を配色。ガラス張りの浴室から深海や深い森をイメージできるよう脱衣所は「ヘイグブルー」一色に。ベルギーの建物の廃レンガ、カカオ農園のシェードツリーを活用したチーク材の無垢フローリング。記憶の中にある「色」や「感触」に加え、それぞれの素材がもつ背景まで徹底して本物にこだわりました。扉や巾木をあえて真っ白に塗っているのは「まるでDIYで後から塗りなおしたような」イメージまでも再現しようとしたから。強い憧れが「記憶」をカタチに。だからこそリノベーションしたばかりなのに何故か懐かしい、想い出をそのまま取り出したような素朴でタイムレスなお住まいが生まれました。
BEFORE
25年前、ニューヨークにお住まいだったご夫婦。当時「こんな家に住みたい!」と憧れていたのはグリニッジビレッジのアパート。
元々海外旅行が大好きだったお二人ですが、コロナ禍でなかなか旅行ができない日々が続きました。今度の住まいでは旅行ができなかった分も想いをつめこみたい、と憧れの「グリニッジビレッジの記憶」をひとつひとつ辿っていきました。
長く文化をはぐくんできたグリニッジビレッジがそうであるように、素材ひとつひとつの歴史や背景にも着目したい。DIYをしながら長く住み続けていく海外のお住まいのようにサステナブルであることにもこだわりたい。だからいつかは廃棄することになるクロスは使いたくない。キッチンも再利用できるステンレスにしたい。
記憶の中にある「色」や「感触」とその背景まで。どれも本物にこだわるリノベーションがはじまりました。