これからの時代に、地域の人とともにカルチャーを育み、成長し続け影響力を生み出せる街づくりを。
溝の口・高津という地域とともにコミュニティも建物も成長し、ここに集う人の想いが熱く沸騰する場になって欲しい、そんな思いから建物の愛称を”BOIL ”と名付けた。
川崎市は「若者文化の発信によるまちづくりに向けた環境整備等に関する基本計画」を策定し、ブレイクダンス等の若者文化の発信により、市の魅力を高め「若い世代が集い賑わうまち」を目指している。
本計画では事務所用途であった施設を、ダンススタジオ、シェアキッチン、ブルワリー、コワーキングスペースとして改修した。外部には常設でキッチンカーを設置している。通信施設としての象徴的な外観や高い天井を最大限に活かし、建物と道路の間に大階段を設けることで、内外を繫ぐ計画とした。これまで見えなかった窓枠の上部に現れたさび止め塗装の鮮やかなオレンジ色を建物のキーカラーとし、エントランスの庇や家具に取り入れた。建物の状態を活かして歴史を尊重すると同時に、新しいものを取り入れるデザインとした。
しばらく使われていなかったこの建物の完成が近づくにつれ、街ゆく人が足を止め期待を寄せていた。開業後、地域参加型で壁の塗装や家具製作ワークショップを行っている。地域の人とともに手を加えることで、たくさんの人に愛着を持ってもらえる場所にしていきたい。
BEFORE
コンバージョンを行った通信ビル「NTT溝ノ口ビル」は、1974年の竣工時より、電話回線への加入や料金の支払い窓口などとして利用され、地域の人たちを支えていた。一方で、近年は業務効率化等により事務棟建物内に余白が生まれていた。この余白を生かして地域を支え続けたいという想いからコンバージョンを行い、これまでの「通信」発信基地局の機能に、地域参加型の「文化」発信基地局という機能を付加、バリューアップを行った。ブレイクダンス・ダブルダッチの世界チャンピオンチームらの練習スペースやスクール開催、地元のフリーランスや店舗開業希望者に利用されるだけでなく、イベント開催やそれぞれの施設を掛け合わせて利用するなど、地域の文化を創造する複合施設としての活用が広がってきている。