「愛犬が暮らしやすい部屋にしたい」
「アートを取り入れミュージアムのような空間を実現したい」
美しさを求めるアートと、汚れや傷をたくさんつけてくれるペット。なかなか共存が難しいこの2つの要望をいかに掛け算をするかが課題でした。施主の愛犬への愛情の深さと、アートやデコレーションといったインテリアへのこだわりの大きさから、人間とペットの居場所を分けることなく両立させられないか、また両者が我慢しなくてよい空間にできないかと考え、導き出した答えは「ペットと人間が同じ空間で、お互い安心しながらアートも楽しめる部屋」でした。
まずは、いつでもお互いの気配を感じられるように居室同士のアクセスは廊下を介さず可能な間取りとし、それぞれがガラスを通してゆるく繋がりのあるプランとしました。
素材によるアプローチとしては、清掃性が良くテクスチャーのある左官材や、傷がついても味わいになるようなフローリングを採用。もちろん防滑性防水性のある塗装を施してあります。
アートの要素としては森のようにグリーンと木目(どちらもクロス)で覆われた廊下やオクタゴン型のドアノブ、家具のような洗面、手彫りのドアなど、コストを大きくかけずに存在感のある一品一品を施主が探し出してきてくれました。
結果として、大切な家族である愛犬とアートが世界観のあるインテリアに溶け込み、どこを切り取っても絵になるお部屋になりました。
BEFORE
愛犬の為に、環境のよい場所に建つ庭付きのマンションを購入されましたが、部屋が細かく分かれすぎていることと、無難で画一的な(面白みが無い)インテリアやツルツルの床材が施主と愛犬の暮らしには合わない為、リノベーションを行うことを前提に物件を購入されました。
それほど古い物件ではなかったこともあり、まだまだ使える設備類や間仕切り壁は既存流用することや、2部屋並んでいた洋室を繋げて広い1部屋の仕事部屋(アトリエ)にすること、対面キッチンは手元を隠したいこと、寝室はリビングからアクセスしたい、各所に遊び心(アート)を取り入れたいというご要望がありました。
大工工事よりも家具工事に多くの時間がかかりました。