築40年の家を減築を施し、物置化していた広縁を軒下空間のある縁側にした。2つだった敷地をつながりが持てるように庭をつくり、道路面から段差があることで視線を遮り、御簾戸で庭を楽しめるように工夫した。そして道行く人もどこか懐かしさを感じる外観にRe-Designした。素材選びのポイントは2つ。1つ目は地域の素材(木・紙・タイル・鉄)を選んだ。工業生産品ではない味わい、本物だけがアンティークになる風合いに、FASTかつFAKEではない「本物」に再びイニシアティブをとらせたいのだ。2点目はメンテがかからない素材を活用し、生涯コストを建替よりも経済的だという提案の素材選びとした。間取りのポイントは、住み手の慣れ親しんだ「座」と「椅子」の視線のズレをあえて段差を用いることで緩やかにつないだ。またコロナ禍で見直された、家族それぞれの「個」のワークスペースを、オープンに「個」になる、クローズに「個」になるスペースとして工夫し設置。建物性能は上部構造評点を0.20→1.58、UA値0.92→0.44、ηAC値7.1→1.2へ劇的に性能向上し、リノベーションの本質である「機能と価値の再生」も担保し、安心と快適を含有した。これらを地域の職人や地域の素材中心でまかない、地域にお金を落とすミニマム経済と考える。最後に中山道の町並みにあきらめないリノベーションを伝えたい、励まし、応援する家をめざした。
BEFORE
リノベーションした住まいは築40年の一戸建て。室内は昔ながらの使わない和室が鎮座した住まい。北側に孤立したキッチンや、使いづらい水回りがある間取りだった。また当時の建物なので、耐震性能も上部構造評点が0.20、温熱環境もUA値0.92であったので、冬寒く、夏熱い住まいであった。