舞台は愛知県名古屋市。市区町村別の人口密度は全国68位。過密過ぎない土地柄は生活環境の基盤としては穏やかである一方、交通インフラの整備は十分とは言えず車を中心とした生活が必要な地域だ。そんな名古屋市で生まれ育ったA夫妻。地元名古屋を愛し、また仕事や周囲の人間関係も名古屋に根ざした生活を送る。全てが“名古屋まみれ“であり、今後も地元に根ざした生活基盤を排除することは考えられない背景があった。居住区を動く必要がない生活はモノの増加を誘発し、仮住まいはモノに溢れていた。今回設計者の立場としてA夫妻にお願いしたのはモノを取捨選択すること。在宅ワークの推進もあり、家事、育児、仕事を同じ空間で効率良く回転させる為には不要なモノは排除し、必要最低限の装備で生活のルーティンを構成することを提案した。
リノベーションを単に空間の拡張と捉えず、生活スタイルを見直す契機とすることで、より地元に根ざした生活を送れる様バックアップしたいと考えた。部屋数を増やすことよりも連続して使いやすい居室空間を目指す為、居室のコーナー化へこだわり
部屋を移動するストレスから開放されると共に互いの状況をすぐに確認出来る様にした。つまり家族のライフスタイルと個々の時間のバージョンアップだ。ストレスなく楽しんで生活するスタイルを追求した結果、人、モノ、ライフスタイルそして第4の“時間”というエッセンスにたどり着いた。