文化住宅からガレージを備えた長屋へリノベーション

その他  /   エリア:大阪府  /   掲載日:2021-09-17

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掲載日:2021-09-17

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共同住宅と長屋の取り扱いは建築基準法上大きく異なります。従前用途は共同住宅で特殊建築物に該当します。一方で長屋は特殊建築物には該当しません。本プロジェクトでは施主が附属倉庫の除却を決めていたため、敷地内通路の幅員が確保でき、長屋への用途変更の可能性がありました。木造はS造やRC造と比べ、柱、梁、筋交いといった構造体が数多くあります。本プロジェクトでは設計を進める前に、内部を軸組だけ残した状態まで解体し、その上で、耐震補強や断熱も含めた方針を決め、最終的に3戸の長屋として計画しました。設計時に思い出したのはアートアンドクラフトが2001年にリリースした鉄骨の倉庫へ居住空間となる箱を置き、必要最小限の住設備を設えた「クラフトスタジオ神路」でした。本プロジェクトも同様に軸組だけが残された空間に断熱を施した箱を設け、2階部分はその箱の上部とし、1階は箱以外の部分は土間仕上げとしています。他の長屋物件との差別化を図るため、土間の部分は「ガレージ」というワードを全面に打ち出し、自転車やバイクを大切にしているユーザーをターゲットに。メインビジュアルとなる写真は一目で物件のコンセプトが伝わるよう、バイクを用意しインパクトのある写真を撮影しました。賃貸募集やプレスリリースでもバイクが入った写真を使うことで、建築不動産系のメディアだけでなく、バイク関係のメディアも反応し情報が広く拡散されました。

BEFORE


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大阪には都心周縁部に今なお数多くの文化住宅が残っています。戦後から高度成長期にかけ、労働者のために数多く建設されました。当時は集団就職と呼ばれ、農村部から都市部への大規模な就労者が流入し、その受け皿となったのが文化住宅です。住戸は四畳半から六畳のものが多く、風呂やトイレが共同のものも少なくありません。そうした形式は現代のニーズには不相応で、多くの文化住宅が空室に悩まされ、取り壊しを余儀なくされています。私たちが手掛けた東大阪市の文化住宅も例外ではありませんでした。かつて街並みを形成していた文化住宅が次々と取り壊され、住宅地をスプロールしていく駐車場や、画一的なアパート・建売住宅が建ち並ぶ景色へと変わっていく。施主は都市の風景を残しながら、現代的なニーズにアップデートし新たな入居者層を呼び込み、街に緩やかな変化と活力を与えることができないだろうかと考え、プロジェクトが始まりました。

Before

After

    • 部門
    • 無差別級
    • 間取り
    • 3戸長屋
    • 費用
    • 3800万円(税込)
    • 形態
    • 賃貸リノベ
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体 / 水まわり / 居室・その他 / 屋外 / 耐震補強 / 断熱改修 / その他
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)

物件情報


    • 築年月
    • 1963年11月
    • 構造
    • 木造
    • リノベーション面積
    • 231.96
    • 施工期間
    • 4ヶ月
    • 備考