平成にリノベの余地あり。これからは平成の建物をリノベーションする時代です。新築注文住宅は高額化、一部の人しか購入できない。それでも若い人にも安心で快適な住まいに暮らしてほしい。そこで登場するのが平成の建物です。既存躯体をうまく使いながら、現行新築住宅の耐震断熱基準をクリアしつつ個々の暮らしの理想を反映させます。
写真撮影日は、東海地方では珍しく雪の降り積もった肌寒い朝でした。暖かな部屋の中には外の寒さとは裏腹に、明るい笑顔が溢れます。この家のタイトル『PV=nRT』とは、理想気体の状態方程式。物理教師であるご主人にちなみ、リソウ・キタイ(理想・期待)と名付けました。室内のこだわりは、間取り。動線を生かして建具を減らし、しっかりと壁量を増やします。ご実家であるこの土地の性質をよく知るご主人が理想とした南東リビングには、ブレスで仕切った子供の隠れ家を配置しました。そして期待の断熱効果は、ただいま実証実験中。エアコン1台で家中が快適に過ごせるのか検証するため、冬は1Fリビング、夏は2F寝室のエアコンのみで暮らしています。奥様は明るく風通しの良い状態が理想で、建物スペックを気にするのは安心で幸せな日々のため。ハードもソフトもバランスが大事というお二人のご要望で設置したリビングの大きな掃き出し窓からは、ソファに腰掛けたまま大空が望めます。朝の光がたくさん入る、理想の場所になりました。
BEFORE
地震への備えは家族の笑顔を守るため。豊川市の郊外、市街化調整区域のご実家を譲り受けたご夫婦。現行の耐震基準以上の新築注文住宅を希望されていましたが、平成初期に建てられた既存建物には地盤改良の柱状体が入っており、撤去費用など余計にかかるコストが想定以上。悩んだ結果、行き着いたのが令和仕様のハイスペックリノベーションでした。躯体をうまく使いながら耐震断熱性能を高めていくため、スケルトンからのリノベーションです。骨組みだけでも美しい、まだまだ使える丈夫な建物に、お二人の理想を詰め込みます。ご主人は性能の数値化に期待。壁量計算・外皮計算などの計算業務を前提に話を進めていくことに。奥様は理想の暮らしをノートに書き溜めていたので、ひとつずつ優先順位を決めていきます。価格・性能・デザイン・使い勝手、あらゆる面で新築注文住宅に負けない、みんなが最高に幸せになれる家を目指しました。