穏やかな瀬戸内海をリビングから一望できるM邸。海には島とヨットが浮かび、まるでリゾートのような贅沢な眺めだ。築47年の建物の趣と部屋からの景色に惹かれ、フルリノベーションをすることを前提に購入を決めた。リノベーションにおけるM様の要望は、床暖房と海が見える魅力を存分に活かした明るい空間。瀬戸内海を背にした高松市内のマンションは南側リビングが多く、海を眺めながら過ごせる北側向きのリビングは意外と少ない。この2つを条件に、物件探しからインテリアデザインまでの全てを任された。
小さく区切られていた3つの部屋をワンルームに。寝室の壁も思い切って取り払い、二面を引き戸とロールスクリーンで仕切ることで、LDKだけでなく寝室からも海が見える大空間となった。休日の朝はベッドから海を眺め、ゆっくり起きてまったりと過ごすのだとか。ネイビーの大きな3連引戸は、より一層〝海〟というテーマを印象づけてくれる。それに合うタイルを大阪まで足を延ばして探し歩いた。古いマンションの鉄格子は、すぐそこに海を感じる。景色が生活の一部となり、M様の毎日にゆとりを持たせてくれるようになったという。マンションの目の前は昔からある市営のプール。「子どもたちの声が聞こえると夏が来たなと思います。子供の頃を思い出して懐かしい」と目を細める。落ちていく夕日の長さからも、季節の移ろいを感じる生活。今日もまた穏やかな時間が流れる。
BEFORE
1975年07月 築 和室2間続き、洋室、リビングダイニング、独立キッチンという昔ながらの3LDK。キッチンの入口はアーチ型でレトロ感があって良いのだが、閉鎖的でエアコンが効かずその上暗い。収納は多かったが、奥行きが深く収納しづらいため、玄関入ってすぐの4畳半をオープンにして収納兼用のサブスペースとした。