木曜20時、お気に入りの店でご飯をテイクアウトし家路につく。広めの玄関土間に白のミニベロを置く。着ていたアウターを玄関で脱ぎ、背負っていたリュックをクロークに置いた。明日のリモートワークのために持ち帰ってきたカタログもすっかり定位置になったシューズクロークの棚に並べる。カタログがふえ、お気に入りの靴たちが窮屈そうにしている。
マスクを外し、久しぶりに自分の顔を見る。玄関にあるタッチレス水栓で手を洗うことも当たり前になってきた。
そんな日々の中で少しでも自分のご褒美にと買ってきたご飯をリビングへ運ぶ。壁と天井の躯体に塗られた断熱塗料のお陰でちょうどいい室温と湿度が私を包む。引っ越してから新調したソファーに腰を下ろして一息つく。脱ぎっぱなしだった服を洗濯機に放り込み、お風呂にお湯を溜めた。寝室のウォークインクローゼットへと向かうついでに、玄関に置きっぱなしだったパソコンをワークスペースへ置く。以前住んでいた家では窮屈に感じていたリモートワークがこの部屋に引っ越してきてから変わった。白を基調とした壁が私の集中力を高め、パソコンのモニター越しに映る部屋は生活感を感じさせない。「少し換気しようかな」そう思い窓を開けた。
スマホの警報音が鳴り、セキュリティーの解除を忘れていたことに気づく。
安心して暮せるこの部屋は私の最高の城(シロ)だ。
BEFORE
典型的な団地タイプの間取りで築年数もだいぶ経っており、解体時は躯体が剥がれ落ち管理会社と協力しながら補修を施した。その後躯体に断熱塗料のガイナを白く塗布し、内窓を設置することによりこの時代のマンション特有の結露、カビ、防音対策にも力をいれた。