想定を超えて長期化している新型コロナウイルスの感染拡大。外出自粛が求められる中、自由に出かけられない辛さを感じながらも、仕事や遊びに出かけて家では眠るだけの忙しい日常って本当に幸せだったの?と、我に返った人も多いはず。とはいえ、リモートワークができるから地方に移住なんて実際にできるのはごく一部。引き続き都市に住む人の住まいはどう変わる?取ってつけたようにワークスペースをはめ込むだけでいいの?
人口が集中するにつれコンパクトになった都市の住まい。求められる役割が減ってしまっていたのではないか。食べて、眠って、身なりを整え、家事をして、仕事をして、余暇を過ごす。目指したのはそれぞれがMIXするのではなく独立して快適な住まい。3階建ての縦に伸びる都市型戸建てというストック特性を活かして、これからの都市居住のあり方を考えたケーススタディ住宅です。
物件を特徴づけるのは1階に設けた「ハナレ」と名付けたワークスペースと、約25平米の屋上「スカイヤード」。「ハナレ」でイメージしたのは、昔ながらの住宅の離れや農家の納屋、商店街の店舗併設住宅。住まいの中にありながら、2、3階の生活スペースとは少し切り分けた空間とする動線を計画。「スカイヤード」は、日常生活から気分を切り変えて楽しめる非日常感を演出した。
BEFORE
JR「三ノ宮駅」から快速で約3分の「六甲道駅」から徒歩10分。ストックは1985年築、間口約3m奥行き約10mのコンパクトな3階建ての都市型住宅。外装内装共に傷みが見られ、至る所で雨漏りがしている状態だった。また、建物の中央にある階段により空間が分断され、部屋は暗く、使いにくい状態だった。一方で屋上から北には六甲山、西には三宮の街を見渡す開放感は格別!この気持ち良さを残したいと、リノベーションに踏み切った。
1階は階段を架け替えて広い空間を確保。水回りを移設することによって、居室の採光を確保できるように配置。また、再販物件としては、一部解体調査による構造計算と工事部分の遵法性チェック実施。R5住宅と既存住宅瑕疵保険の基準に適合するように計画を進め、安心して住まいとして検討できる物件を目指すと同時に、住宅ローン減税と住まい給付金の適用を可能とした。