この街に似合う都会的で洗練された印象の中に、リラックスできる空間の柔らかさを兼ね備えた家を目指したリノベーション。そんな空間を創るルールは3つ。色使いを限定すること、木部は色を重ねず塗装はクリアで仕上げること、無駄をなくすこと。シンプルにまとめる為に、施主さんと設計士でアイデアを出し合い、見えない部分へとことん拘った。
大胆に配置した無垢のルーバーは、玄関から廊下、LDKまでゆるやかに動線を繋げ、無垢材ならではのあたたかさを感じられる。玄関に入ってさっと荷物や上着をかけられるフックも、ルーバーのデザインを損ねないように配置。TV台は裏側のWICから配線できるよう工夫し、台下にはレコーダーを納めている。玄関正面のルーバーは一部が寝室につながる隠し扉になっていて、来客が出入りする場所と区別した。また照明計画ではIOTを導入し、スマホやスマートスピーカーで操作ができるように計画。今回のリノベーションで、理にかなった形とデザインを実現しながら、都市の中でどう過ごしやすい家を創るか、ひとつの回答を提案している。
BEFORE
施主様とはじめてお会いしたのは、リノベーションを前提とした物件購入後のご相談だった。
駅前に立つこのマンションは、築年数21年と比較的新しく外観も綺麗である。
LDKにある大きな掃き出し窓が街中の窮屈さとは裏腹に解放感を与え、リノベーションのポテンシャルを感じた。
「本来なら、リノベーション会社さんに見てもらってから買う手順の方がよかったんだけどね」と施主さんは話してくれた。
この部屋の良さを購入前から施主さんも感じていたようだ。