施主様は料理サイトに創作料理を投稿するほどのお料理好きで、キッチンに強い思い入れのある方。キッチンを造作し、ここをフォーカルポイントとして家全体の素材・ディテールを追求することで統一感ある住まいを目指しました。

キッチンは家族や友人と食卓を囲むバルのような活気ある空間が理想であったため、ダイニングと一体になったコの字型に。天板は水に強く光沢が美しいヤマザクラ板。この2,700mm幅の耳付き板は、施主様自身が家具工房に直接足を運び巡り逢ったもの。この天板の美しさを際立たせるため、L字金物を見せずに天板の荷重を支える設計・施工としました。

またキッチンを囲む皆が快適な時を過ごせるよう、キッチン側とカウンター側の床高を変更。キッチン側の床を80mm下げ、カウンター側の椅子の差尺が大きくなり過ぎないよう調節しています。

建具も造作。上端をホールまわりの天井高に合わせ、下がり壁のないラインに。引き手も上下縦に彫り込み、縦と横のラインを揃えました。

家で使用した素材はヤマザクラ、檜、シナ、オーク、珪藻土、ユーロプラスト。「こだわりの積み重ねが統一感を生み、心地よい空間となる」という施主様の感性のもと、本物を使用し色味や塗り方まで吟味しました。「この家は木の呼吸が感じられ、植物も生き生きしている」と施主様。家は日々の疲れを癒す場であると、外出制限の中改めて感じたそうです。