住戸全体の形状に合わせ、空間を斜めにゾーニングすることで、動線を最大限短く、居住空間を最大限大きくとるプランとしました。
もっとも特徴的なのは、長靴の先がちょこんと飛び出したような、出窓空間を利用した書斎。小ぢんまりした空間ですが、書斎としての機能とゆったりと座れる広さを両立するため、デスクセット代わりとなるカウンターを窓下に造作。LDKとの間に建具は設けず、小さな間口でかまくらのような「おこもり感」を感じられる空間となりました。
水廻りも空間を最大化するため、五角形の変形間取りに。上下二本のパイプハンガー、大容量の洗濯機、収納たっぷりの洗面台にトイレ。ゆとりのある通路。そしてマンションとしては大型の1416サイズの浴室を設置した、大空間の水回りを実現しました。
収納も一工夫。リビング右手の壁は、旅行好きの施主様が旅先で買い集めた小物を飾るため、上部にディスプレイ用の小空間を残しています。クローゼットは動線をシンプルに、かつ洋服のホコリをリビングに持ち込みたくないという希望から、SICを兼ねたWICを玄関に集約。こちらもスペースの最大化を狙い、入口を斜めに設計しました。居室空間に外の汚れを持ち込まない間取りは、感染症予防意識の高まりから、今後需要が増えていくのではないかと考えています。
BEFORE
都内の築39年、54㎡・2LDKのお部屋。リビングの両サイドに窓があり、風が一直線に流れる気持ちいいお部屋ですが、台形に似た変則的な形状であるためデッドスペースが生じ、収納が不足していました。変形間取りをうまく活用し、居住空間と収納スペースの両方を確保する工夫が求められました。