築60年、人で言えば還暦を迎えた古民家を、今後60年は安心して住める家につくり変えました。
構造に入念な補強を施し、地盤沈下対策で基礎もコンクリート補強。壁面と床下、屋根裏には周到な断熱施工。
2階の和室2部屋20畳は構造梁で補強し、1つの大空間を創出してLDKに。
1階:玄関を開ければ高い天井が目を惹く。足元を仄かに照らすのは上がり框の裏に仕込まれた間接照明。
モルタル左官仕様の土間はシューズインクローゼットまで続き、ペットの散歩帰りも気兼ねなく。
土間から上がって右側の廊下はネイルサロンに通じ、歩を進めると中庭からの柔らかな光を感じる。
こだわった硝子製建具のなせる技。
ネイルサロンと洗面所、浴室が同じ導線上にあるのは、荷物や洗い物の移動を容易にする工夫。
2階:広びろとしたオープンアイランドキッチン。断熱効果によりエアコンわずか1台きりで夏涼しく冬暖かに。
南側、ウッドデッキ張りの広いルーフバルコニーに続く大きな掃き出し窓が、内と外の境を消し去り空間の広がりを欲しいままに。
リビングを夜明けから夕方まで空からの光が穏やかに差し、夜は調光式間接照明が月光のように優しく照らす。
重厚なる還暦の古民家は本来の良さを残しつつ、明るさと広がりが存分に味わえる開放的な住まいになりました。
BEFORE
奥様がネイルサロンを営み、ご主人様は大好きな趣味と筋トレで会社経営のストレスを解消、チワワ2匹と快適に暮らしたい。
そんな夢を叶える中古戸建物件を探す中、ご夫妻が探し当てたこの古民家。床面積が広い割に手頃な価格だったので、お二人はリノベーションを決意。
幸いなのは、そこは元住民の大工さんが自ら建てた、古いとはいえ造りが強固で堅牢な柱が支える立派な建物だったことです。
細い私道の小路の奥にあり、再建築では器が相当小さくなります。私たちは元の器を最大限に活かすことにしました。
耐震と断熱には特に力を入れて永く住めるように、そして施主様ご夫妻のライフスタイルに合わせ大幅に間取りを変更しよう。そう決めて着手しました。
時代の流れは今、大量消費社会から循環型社会に向かっています。私たちは古くとも優れた建築を尊び、その良さを活かしつつ未来に残す想いでこのリノベーションに臨みました。