事業主である施主さまは、ご自宅が仕事場でもあります。オンとオフをはっきり区別するというよりは、仕事を生活の一要素ととらえ、公の空間と私の空間にゆるやかな繋がりを残したプランに。公空間であるワークスペースを中心に、私空間であるバーキッチン→ハンモック・リビング→ベッド→トレーニングルームを半円状に配しています。開放感を意識した間仕切りのないワンルームですが、スペースごとの役割を際立たせるため、ほどよく視界が遮られるレイアウトとしました。
また開放感を強調するため、キッチン奥とベランダ側の壁に鏡を設置。キッチン奥の鏡は、室内を面積以上に広く見せる効果を狙い、ホールからみて正面の壁に。ベランダ側の鏡は、眺望に広がりを持たせる効果を狙い、窓と窓の間の壁に設置しました。
ワークスペースは小さな空間でも閉塞的にならないよう、半面をガラスで施工。
水廻りも居室と同様、一つの空間に洗面・トイレ・浴槽・シャワー室を配置したオープン設計ですが、斜めにおいた浴槽を軸とした配置で、それぞれを緩やかにゾーニングしています。
在宅ワーク=ワークスペースを設けるだけでなく、気分転換ができる工夫も重要だと考えています。テレワークが進み、家で過ごす時間が増えたいま、こうした需要はますます増えていくのではないでしょうか。
BEFORE
都内の築18年・約76㎡・3LDKのマンション。線路沿いの開けた眺望と、窓が大きく日当たりの良い部屋でしたが、間取りは細かく分かれ、左右で分断されていたため、せっかくの採光の良さが生かしきれていませんでした。また施主様は一人暮らしのため「部屋数は少なくて良いので、開放的な設計を」とご希望でした。幸い構造壁などの間取り変更の妨げとなる要素が少ない物件で、自由度の高いプランニングが可能でした。