10年前、駅から離れた新興住宅街に建売住宅を購入された施主様。スーパーも徒歩圏内で日常生活に何不自由なく事足りるも、どこかしっくりこない。
娘が結婚を機に自身の家がほしいと申し出たことで暮らし方を見直すようになった。
美容室を営む施主様にとってお店へ通ってくれる人との交流は大切な時間。共に歩んできた時間と地域を守るべく、施主様は職住近接という暮らし方を選び、新しい住居を構えるにあたっては自身のライフスタイルに合った平屋、そしてお店への距離をテーマに戸建てリノベーションの可能性にかけた。
まずは住宅診断をして手をかけるべき場所――断熱性能のアップと耐震工事――をおこない、この家の歴史とどう向き合うか施主様と打合せを重ねた。
天井は当初表しの予定ではなかったが、解体を進めたところで梁が意匠性の高いものと判断し、見せる方向へと変更。
旦那様はアメリカンビンテージ、奥様はヨーロッパのアパルトメントのテイストが好きとのことで、傷やほぞ穴、耐震補強の構造用合板や金具はそのまま見える形で仕上げ、作り込みすぎない、「好き」を詰め込んだ空間が出来あがった。
BEFORE
築40年近い本物件。南面には昔ながらの和室と縁側があり、キッチンは北側にあることで薄暗く、じめっとした空間になっていた。