







ここで生活を始めるのは、ご夫婦と猫のロロ。ご主人は台湾にルーツを持ち、地方創生プロジェクトに従事していたこともあり、台湾や日本を中心に、各国の民藝をはじめとした文化に精通している。以前暮らしていた場所は、ビジネス街という環境に加え、青森の大自然の中で育った奥さまや猫との理想の暮らし方を考えると、少し窮屈さを感じていた。そこで、自然を感じられる場所へ移ることを考えたという。流れる時間や素材の妙を好むご夫婦にとって、新築ではなくリノベーションという選択は自然な流れだった。インド製などの家具にも調和するよう、キッチンや洗面は既製品ではなく造作。アーチ壁の上部には流木やアクリルなどを用いたキャットウォークを設け、猫のロロも行き来できるようにした。ガラス引き戸で寝室とリビングを開放的に区切り、廊下から曲線が続く。洗面入口に雪見窓、上部には開口を設け、光や気配が緩やかにつながる。サニタリーの建具表面にはスライスストーンを採用し、シンボルとなっている。天井や壁は、あらわし/塗装/クロスを使い分け、床はリビングにフローリング、洗面・キッチンには磁器質タイルを使用。トイレや奥さまがゲーミング部屋として使う洋室にはタイルを採用し、異なる素材が空間を締める。工事後は、壁一面に和紙を貼るなど、施主のセルフ施工でアップデートもされている。
BEFORE
現地調査の日、「はいり、はいり」と、おそらく関西出身のお母さまが気さくに迎え入れてくださったことが印象に残っている。当時のご家族が居住中。子ども部屋ではお子さまたちに挨拶をしてから採寸を行った。壁にペンで直接書かれたキャラクターの絵も迎えてくれている気がした。家族それぞれの用途に合わせて各部屋が明確に区切られた2LDK。キッチンからはリビング全体を見渡せる一方、各居室は用途別ではありつつも、少しばかり限定的に感じた。
次に住むご夫婦とは「配置を生かしつつ大きな間取りの変更はせずに、滑らかに各部屋がつながる空間」を目指しましょうと、計画を始めた。

