受け継ぐ過去と楽しむ今、迎える時間

マンション  /   エリア:東京都  /   掲載日:2026-08-17

マンション  /   エリア:東京都

掲載日:2026-08-17

いいね!と思ったら、
ハートをクリック! 0

renovation image

この住まいで大切にされているのは「料理」と「もてなし」だ。沖永良部島出身の住まい手は、人とのつながりを何より大切にし、近くで営むセレクトショップを訪れる人には、飲食店でもないのに手作りの焼き菓子を振る舞う。工事に携わる私たちにも、毎回欠かすことなく手料理を用意してくださった。その人柄を、住まいの中心に据えたいと考えた。閉ざされていたキッチンの壁を取り払い、キッチン、ダイニング、ソファが緩やかにつながる、料理をしながら人と時間を分かち合える場所をつくった。

また、住まい手の強い希望から、仏壇を空間の中心に置いた。リビングやキッチンから自然に目に入る場所にすることで、亡き人を偲ぶ行為を特別なものにせず、日々の暮らしの中に静かに重ねられるようにした。過去の記憶を遠ざけるのではなく、今を生きる時間の中に受け入れる。それもまた、豊かに暮らすということだと考えた。

三面の窓から差し込む光を最大限に享受できるよう、間取りをひとつながりに再編。窓へ向かう新たな動線に沿って必要な機能を配置し、建物の奥へ進むほどプライバシーが高まる構成とした。機能を隠すことから、暮らしそのものを見せることへ。既存の美しさを消すのではなく、人の営みが重なっていく余白へと住まいを変えた。

BEFORE


before image

代官山の街の一角にある、53㎡の住まい。無垢材の建具や、浴室・洗面・トイレを天然石で一続きに仕上げた在来浴室など、マンションの原設計には、細部まで贅沢につくり込まれた設えが残されていた。

しかし、時間を重ねることで、その上質な設えは少しずつ現在の暮らしとのずれを生んでいた。経年した水廻りは漏水のリスクを抱え、閉ざされたキッチンは二人で料理をするには狭い。45度に振れた間取りでは、最も光を享受できる窓際が収納に占められていた。

整然と暮らせる一方で、空間は細かく分かれ、人の気配や行為がつながりにくい。60代を迎えたご夫婦と猫の、これからの人生に寄り添う住まいへ。住まい手が大切にしてきた価値観を紐解きながら、それらが自然に息づく新しい暮らしの場をつくることから計画は始まった。

Before

After

    • 部門
    • 2000万円以上
    • 間取り
    • 回遊する動線へ
    • 費用
    • 2300万円(税込)
    • 形態
    • 自由設計リノベ
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体 / 水まわり / 居室・その他
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)
  • 天カセAC(既存再利用)

物件情報


    • 築年月
    • 1997年7月
    • 構造
    • RC造
    • リノベーション面積
    • 53.00
    • 施工期間
    • 4ヵ月
    • 備考

CREDIT


  • 設計 Small Design Studio一級建築士事務所
  • 写真 Yumi Saito