







共用廊下側とバルコニー側の二面にしか開口がない典型的な中住戸。不動産が高騰する都内では回避困難だ。個室を減らし大きなLDKをつくり、躯体現しで広さを得るのが一つの定石だが、再販時の市場性やプライバシーのため、部屋数を求める需要も根強い。
そこで、①個室3室確保 ②水回り移動なし ③壁床天井の二重化で断熱・遮音 を条件に、部屋数を確保すると暗く長くなる住戸中央の廊下を、住戸を縦に貫く「通り庭」へ反転させる中住戸のプロトタイプを考えた。
通り庭は幅1.35mとし、壁面収納を設けられる広さを確保。ルーバー上部の照明で屋外のような光環境をつくり、通過動線を滞在空間に変えた。バルコニー側は間口全面をリビングとし、その一角を凹ませたニッチを可動間仕切で区切り主寝室に。これで寝室まで光が届き運河が見える。
構造フレームは石膏ボードで覆ったが、左官材でコンクリートの表情を継承し、邪魔者にされがちな柱・梁型を、緩やかに空間を区切る要素として積極活用した。ラフな躯体面・ミニマルな新設間仕切に噛み込むように、キツネ色の木で廊下の棚やベンチ、ソファ、ダイニングの壁など、家具であり建築でもある大小のニッチを設け、人の居場所をつくった。
今、通り庭では2歳児が光の下で本を読み、おもちゃの車で走り回る。廊下を消すのではなくその往復を暮らしに変える。中住戸最大の弱点は、この家に欠かせない生活の軸となった。
BEFORE
共用廊下側とバルコニー側にしか開口がない上に、間口も限られ廊下側のうち一方が洗面所で潰れている、中住戸の中でも好条件とは言えない部屋。当初の3DKから窓側の一部屋をリビングとして繋げた2LDKとなっていたが、奥行きが長く家具を配置しにくい空間となっていて、ダイニングスペースは部屋の中央で暗い。玄関、廊下も狭く暗く収納が不足していた。階高も限られており、水回りも配管の状況から移動が困難であるという条件だった。
一方でバルコニー側は南側の運河に眺望が開けており、バルコニーも一部が広がっていて屋外でも一息つける。この素晴らしい環境をどう活かして課題を解決するかがテーマとなった。

