







築50年を経て、役割を終えようとしていた木造平屋のクラブハウス。この計画で再生したかったのは、建物だけではない。ゴルフ練習場の改修を契機に、長く閉じていた建物を街へとひらき、地域に新たな居場所をつくることを考えた。
敷地は交通量の多い交差点に面し、多くの車が行き交う一方で、人が立ち止まり、時間を過ごせる場所はほとんどなかった。そこで、かつてゴルフ練習場の利用者だけを迎えていた建物を、誰もが立ち寄れるカフェへと転換し、人が集い、街に潤いをもたらす「街角のオアシス」を目指した。
改修では、50年の時間を刻んだ柱・梁を可能な限り残し、構造補強を施しながら開口部を再構成した。内外の境界には大きな木製サッシを設け、ひらくことでカフェと庭がひと続きとなり、建物と街が緩やかにつながる構成とした。
内部には植栽を組み込んだ大きなテーブルを据え、庭の緑を室内へと連続させた。外部には水景を設け、流れ落ちる水の音で交差点の喧騒を和らげている。光、緑、水、音を建築に取り込み、都市の喧騒から穏やかな時間へと切り替わる居場所をつくり出した。
50年を生きた建築の骨格を受け継ぎ、建築・外構・植栽・照明を一体として再編集することで、かつての付属施設は地域の新たな居場所へと生まれ変わった。一つの建物をひらくことで、街角そのものをひらく。
BEFORE
築50年を経た木造平屋のクラブハウス。長年ゴルフ練習場の利用者を迎えてきた建物は老朽化が進み、いつしか使われることもなく、その役割を終えようとしていた。
敷地は交通量の多い交差点に位置し、周辺には飲食店や人が滞在できる場所もほとんどない。多くの車が行き交う一方で、人が立ち止まり、時間を過ごすきっかけのない場所でもあった。
既存建物も街に対して閉じ、大小さまざまな開口部が設けられているものの、内部と外部の関係は希薄だった。一方で、50年の時間を支えてきた木造の骨格と、その前面には広々とした駐車スペースが残されていた。
この骨格を生かしながら開口部を整理し、建物を大きな余白へと開くことで、内部と外部、そして街との新しい関係をつくることができる。そこに、役割を失った建物を再生するだけでなく、この街角そのものに新しい価値を生み出せる可能性を感じた。

