







ふたりの門出を、これから暮らす住まいに重ねる。彼女がプロポーズとして購入したマンションを、自分たちらしく人生を歩み始める場所へとリノベーションした。
住まいの中心となるLDKを包むのは、塗装職人である彼女の父が仕上げた壁。柔らかな曲面に自然光や間接照明が重なり、手仕事の表情が浮かび上がる。壁と一体になった飾り棚、丸みを帯びたカウンター、木の温もり。穏やかな色と素材で構成された空間に、ふたりの暮らしが始まった。
この家で迎えた、セルフ前撮りの日。父の塗った壁を背景に婚礼衣装で並び、いつものソファに腰掛ける。カウンターでお茶とお菓子を楽しむ姿には、特別な日と何気ない日常が自然に重なる。
これからは家族や友人を招き、食卓を囲み、折々の喜びを分かち合っていく。写真を見返すたび、その背景にある父の手仕事と、住まいづくりに込めた想いにも触れられる。
ハレの日も、ケの日も、この場所で。ふたりの門出を刻んだ住まいは、日々を重ねながら、かけがえのない記憶の居場所になっていく。
BEFORE
ふたりの新しい人生を、どんな形で始めよう。彼女が選んだのは、プロポーズとして自らマンションを購入することだった。これからともに生きていきたい。その想いを、ふたりが暮らす場所に託した。
結婚の節目にかける費用は、これから長い時間を過ごす住まいに注ぎたい。そして、塗装職人である父に壁を仕上げてもらいたい。家族の手仕事が残る家で、自分たちらしい門出を迎える。それが、ふたりの望む住まいづくりの出発点となった。
解体され、まだ何もない空間に思い描いたのは、並んでくつろぐ姿や、食卓を囲む時間、家族や友人と喜びを分かち合う風景。「家を買う」という大きな決断の先には、ふたりの未来を自分たちの手でつくっていく期待が広がっていた。

