







競技を続けながら働く。
そんな生き方を選ぶ人たちがいる。
仕事か、スポーツか。かつてはどちらかを選ぶしかなかった人々にも、
今は両立という選択肢が生まれ始めている。(※1)
しかし、その暮らしを支える住まいはまだ少ない。
現役アスリートやデュアルキャリアへのヒアリングから見えてきたのは、
仕事後にジムへ向かう移動時間、食事や身体のケア、睡眠時間の確保に追われる日常だった。
帰宅が遅い日は、トレーニングを諦めることもある。
そこで私たちは、住まいそのものが仕事と競技の両立を支える環境になれないかと考えた。
既存の主寝室を黒を基調としたトレーニングルームへ転換。
玄関から直接アクセスできる動線とし、汗や汚れを生活空間へ持ち込まない計画とした。
さらに、半個室のワークスペース、身体づくりを支える広いキッチン、
回復のためにサイズアップした浴室、休息に特化した寝室を設け、
「仕事・トレーニング・休息」の三要素にそれぞれ居場所を与えた。
空間を移ること自体が、頭と身体を切り替えるスイッチとなる。
働くこと、身体を動かすこと、健やかに休むこと。
これはアスリートだけの要望ではない。
コロナ禍を経て住まいに働く場が加わったように、
これからは運動と回復までを支える住まいが、
多様な生き方を支える新しい暮らしの選択肢になる。
BEFORE
専有部はワイドスパンで、各居室が窓に面する一般的な間取りとなっていた。
ワイドスパンならではの開放感やリビングと洋室のつながりがなく、家族の気配を感じにくい空間であった。

