







暮らしに合わせて、境界そのものを変えられる住まい。
ひとりで静かに過ごしたいときには、小さな居場所をつくる。
家族が集まるときには、境界をほどき、ひと続きの空間にする。
仕事をするとき、休むとき、人を迎えるとき。
時間や人数、その日の気分によって、人が場所を選ぶだけでなく、住まいの側も変化していく。
そのために用いたのが、障子、ガラスブロック、そして天井際に設けた抜けです。
窓から差し込む限られた自然光を壁で止めず、障子やガラス、天井際の抜けを介して奥へと導き、住まい全体へ光を巡らせる。
障子を閉じれば、居場所を緩やかに分けながらも、光や気配はつながったまま。
開けば視線と動線がつながり、分かれていた場所は再びひと続きになります。
閉じることと、開くこと。
分けることと、つなぐこと。
その間にある無数の状態を、住む人自身が選べること。
住まいを完成された間取りとして固定するのではなく、
暮らしの変化を受け止めながら、住む人の手によって更新され続けるものとして考える。
そのための余白を、この住まいに設けました。
BEFORE
壁と扉によって、それぞれの居場所が明確に分けられた既存の間取り。
暮らしを整然と整理する一方で、光や視線、家族の気配も部屋ごとに分断されていました。
用途を決められた部屋に暮らしを当てはめるのではなく、その時々の過ごし方に応じて、空間そのものが変化できないか。改修は、そんな問いから始まりました。

