




モノを所有することから、体験や時間に豊かさを求める時代へ。大量消費から距離を置く今、私たちはモノに宿る記憶や人の想いを次の暮らしへつなぐことも、住まいの豊かさだと考えた。本プロジェクトは、コスモスイニシアとPASS THE BATONの共同プロデュース。PASS THE BATONが掲げる、モノに新たな価値を見いだす“リライト”の思想を初めて「住」へ展開。分譲から25年を経た住まいに、分譲主が再び向き合い、中古住宅ならではの暮らしを提案します。コンセプトは「ものが好きな、物好きのための理想の家」。空間設計では、暮らし方と愛着を軸に、好きなものと暮らす豊かさを追求。住まいの中心に、アンティーク什器を組み込んだ飾り棚を配置。見せる収納と隠す収納を組み合わせ、好きなものに囲まれながら広がりを感じる空間を実現。また、デッドストックタイルや既存のガラスブロックを再解釈し、役割を与え、素材が受け継いできた時間や記憶を次の暮らしへつないでいます。間取りは用途ごとに分断された空間から、自由に居場所を選べる多層的な空間へ再構成。S字型の段差で緩やかに領域を分けたリビングや、視線が交わる段下がりキッチンで、暮らし方を限定しない住まいを目指した。新しいものをつくるだけでなく、今あるものの価値を見つめ直し、次の暮らしへつないでいく。25年を経た住まいに、新たな豊かさを重ねるリノベーションだ。
BEFORE
60年代の団地に端を発した日本の集合住宅は、長らく合理性や効率性が優先される設計が中心だといわれてきました。その一例として、田の字型間取りや閉鎖的なキッチン、居室といった特徴が、既存フォーマットとして多くの集合住宅に存在し、現在にも受け継がれています。私たちデベロッパーも例外ではありません。
コスモ世田谷は、当社が創業25周年の節目に分譲した住まいでした。前居住者は新築時からお住まいで、リビングから見える朝日や月の景色をお気に入りの場所として大切に暮らしました。
一方で間取りは用途ごとに空間が細かく区切られ、暮らし方があらかじめ決められている構成でした。効率性を重視した住宅のスタンダードでしたが、多様化する

