







インクルーシブデザインは福祉のための特別な設計ではなく、これからの住宅のあり方を考えるための手法です。住宅は長らく「平均的な家族」を前提に計画されてきましたが、実際には発達特性や感覚特性を含め、一人ひとり異なる暮らし方や困りごとがあります。
一方、買取再販住宅では住まい手が見えないまま企画・設計を行うことが多く、結果として不特定多数向けの標準的な住まいに収束しがちです。しかし、リノベーション市場が拡大するこれからの時代には、多様な暮らしに応える住まいづくりが求められると考えました。
そこで本プロジェクトでは、発達特性のある子どもとその家族へのヒアリングやワークショップを実施し、生活課題を整理。その声を基に、「お支度スペース」「カームダウンスペース」「アールデザイン」「安全性に配慮した素材計画」などを3物件に実装しました。
これらは特定の人だけのための工夫ではありません。予定を整えやすい空間や一人になれる居場所、安全な素材や形状は、子育て世帯、高齢者、在宅ワーカーなど、多くの人の暮らしやすさにもつながります。
私たちは、特定の誰かを深く理解することが、結果としてより多くの人にとって快適な住まいを生み出すと考えています。この挑戦は、住まいを進化させ、新たな住宅スタンダードを提案する取り組みです。
BEFORE
近年、多様性への理解が進む一方で、住宅は依然として「標準的な暮らし」を前提に計画されることが少なくありません。
そこで私たちは、発達特性のある子どもやその家族の日常に存在する困りごとに着目しました。文献調査や有識者ヒアリング、当事者参加型ワークショップを通じて課題を整理した結果、住まいの中には行動や感覚への小さな負担が数多く存在することが分かりました。
本プロジェクトは、それらの困難を解消するだけでなく、誰もがより心地よく過ごせる住環境へと発展させることを目指した取り組みです。発達特性をもつ子供とその家族を起点に見えてきた課題を、住宅の新たな可能性として再解釈しました。

