







選んだのは、眼下に豊かな緑が広がるマンション。玄関から右には活動の場となるLDK、左には静寂の場となる寝室を配置し、その間にゆとりある玄関ホールと廊下を設けました。低く垂らしたペンダントライトが壁や床に陰影を落とし、通過するだけの廊下も「灯りを楽しむ場所」になります。
設計で意識したのは、空間そのものを主張させすぎないこと。情報量の多いキッチンは独立させ、梁や凹凸も壁の中に隠し、家具やインテリアが美しく映える背景を整えました。一方、リビングの一面にはコテ跡を残した珪藻土を採用。間接照明の光を受け、時間によって異なる表情を見せます。
そして、あえて残した大きな余白。そこは何もない場所ではなく、これから出会う家具やアートを迎え、暮らしを更新していくための場所です。
朝は窓の向こうの緑を眺め、夜は点在する灯りの陰影を楽しむ。住まいを完成させすぎないことで、好きなものを選び、迎える楽しみが続いていく。暮らしながら完成していく、ふたりのための住まいです。
BEFORE
家具やインテリアを丁寧に選び、少しずつ集めてきたS様ご夫婦。
お気に入りの家具や照明に囲まれていても、賃貸では変えられないものがありました。光源の位置、光の色、そして空間そのもの。
電球色のやわらかな灯りや、陰影のある空間を好むおふたりにとって、それらも家具と同じくらい大切な暮らしの一部でした。
「好きなものが、もっと好きに見える家をつくりたい。」
豊かな緑を望める環境との出会いから、おふたりの家具と灯りを主役にした住まいづくりが始まりました。

