







13年前、この家は3つの個室を一列に並べ、子ども部屋にはロフトを設け、廊下をなくすことで限られた面積を最大限に活かしていました。中心に据えたキッチンから家族の様子を見渡せる間取りも、無垢のフローリングも、13年を経た今なお魅力的なまま。
だからT様ご家族のために行ったのは、すべてを壊してつくり直すことではありませんでした。
間取りや設備、素材の大部分をそのまま活かし、寝室の建具や収納棚、猫たちのための小さな開口など、今の暮らしに必要なものだけを加えました。
かつて別のご家族を見守っていたキッチンは、今ではその周りを走るお子さんと両親の「まてまてしよう」の舞台に。
住まい手が変わっても、良い設計や素材の価値は変わらない。「中古を買って、リノベする」が当たり前になった今、その先にあるのは、良質なリノベーションそのものを価値として選び、住み継ぐという選択肢。
建物だけでなく、そこに費やされた設計や素材、時間まで次の家族へつないでいく。
ストック社会に向けた、新しい中古住宅のあり方です。
BEFORE
「ここしかない!」
内覧を終えてすぐT様は購入を決めました。
そこは13年前、別のご家族のために私達シンプルハウスがリノベーションした住まい。ボルドーパインの無垢床、コンクリート現しの天井、黒いフレームの室内窓。
そして、家族の気配をどこからでも感じられる間取り。
T様は、殆どいじっていない中古物件を買い、リノベで自分らしい空間創りをする予定でした。それでも、このリノベ済物件を選んだ。
新しくつくることよりも、すでにある空間そのものに価値を感じたからでした。

