<住宅>をやめた家 ——大田区から空き家問題を解く

戸建  /   エリア:東京都  /   掲載日:2026-08-29

戸建  /   エリア:東京都

掲載日:2026-08-29

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空き家は、なぜ空き家のままなのか。住む人がいないからである。ならば、住宅であることをやめればいい。
羽田近くの1977年築の木造住宅は、再建築不可で図面すら残らず、個人の買主では住宅ローンが使えないという高いハードルがあった。
私たちはこの家を、人が住む器ではなく人が訪れる器として捉え直した。可能にしたのは特区民泊で、国の認定により通常の民泊にある営業日数の制限を受けず、年間365日運営できる制度だ。対応自治体は全国的に少なく、東京ではこの家がある大田区のみ。制度を使えば、誰も住まなくとも収益が管理コストをまかない、空き家は<管理され続ける建物>になる。
古民家と呼べる築年数ではない、平凡な木造住宅。だが収納や壁を戦略的に間引くと、長押や木組といった骨格が現れた。日本らしさは、つくり出さずともそこにあった。掘り起こした日本住宅らしさと、創出した吹き抜けや土間、サウナ設備は、主客として見据えるインバウンド視点での<非日常の演出>だ。
制度が使える地域は限られている。しかし<家として継承>せずに<宿として管理し続ける>可能性を、大田区から証明できた意義は大きい。そして、平凡な家の内側に価値が眠っているという発見は、どこの空き家にも応用できる。役割を終えた建物を次の時代へ適応させる出発点は、特別な建築ではなく、前提を問い直すことにあった。

BEFORE


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1970年代頃に建てられた家には、大量生産が本格化する以前の建材が多く使われている。当時の木材は目が細かく、建具などにも手仕事の精度が残っている。それらは現在同じ品質で調達しようとすると高価で、そもそも入手できないものも多い。つまり築50年の家は老朽化した負債であると同時に、現在では手に入らない資材の保管庫でもある。問題はその価値が建築内部に隠れていて、外からは見えないことだ。だから多くの場合、価値のない古い家屋としてまとめて解体され、新建材に置き換えられてしまう。
今必要なのは新しくつくる技術ではなく、既にあるものを見極める目なのではないか。何を残し何を手放すかを判断できれば、平凡な一軒から質の高い建築ストックを引き出すこともできる。それは資源の節約という以上に、その家にしか出せない表情を得る確実な方法でもある。この家に残っていた長押や木組も、そうして掘り出された50年分の価値である。

Before

After

    • 部門
    • 無差別級
    • 間取り
    • 3LDK
    • 費用
    • 2719万円(税込)
    • 形態
    • 自由設計リノベ
  • 性能向上リノベ 実施
  • <断熱性能>断熱性能:インプラス設置
  • <耐震性能> 耐震性能:金属ブレース設置
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体 / 水まわり / 居室・その他 / 屋外 / 耐震補強 / 断熱改修
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)

物件情報


    • 築年月
    • 1977年12月
    • 構造
    • 木造
    • リノベーション面積
    • 106.59
    • 施工期間
    • 8ヶ月
    • 備考

CREDIT


  • 事業主:Japan.asset management株式会社
  • 設計:Japan.asset management株式会社 株式会社groove agent
  • 施工:株式会社groove agent
  • 写真:川島 優太