







近年、新築だけでなくリノベーションにおいても断熱性能が重視されています。その有効性に疑問はないものの、数値よりも「そこに暮らす人の満足感」が大切ではないでしょうか。
日本製のスマホは、なぜ売れなくなったのか。性能的には優れているはずの日本車のシェアが、なぜ世界で低下しているのか。言うまでもなく技術は大切ですが、それ以上にユーザーの支持、つまりコスパを含めたベネフィットが重要です。
だからこそ、本宅では断熱数値を最終目的とはせず、暮らす人の「心地よさ」を重視しました。窓からの景色を、気持ちよく眺められるリビング。ストレスのない生活動線。使い勝手とデザイン性を両立した住宅設備。ホテルライクな賃貸住宅を求める層や、ゆとりある暮らしを求めるオーナー自身の満足感を大切に考えました。
それでも、断熱性能や適切な空気循環は心地よい暮らしに不可欠です。そのため、本宅では高度な温熱計算に基づく断熱工事を実施し、清浄機能を備えた全熱交換型換気システムも設置。Ua値を0.46まで改善し、断熱等級6をクリア。完成後には、室内で温熱テストも実施しました。
断熱や空気質の改善は、目標であり目的ではありません。数値が意識されなくなった時、つまり標準化された未来がゴールです。そういった社会の実現を目指しながら、ここで暮らす人が「心地よい」と体感できるウェルネスな空間を作り上げました。
BEFORE
福岡を代表する人気エリアにある「アトリエ平和台」。設計者である福永博氏が「300年住宅」と名付けたコンセプトに基づき、国の制度が始動する前(1999年)に「福岡初の長期優良住宅」を目指して建設されたマンションです。
親族から、このマンションの1室を相続されたお客さまと相談を重ねた結果、当面はハイグレードな賃貸として、また将来はご自身が気持ちよく住む場としてリノベーションさせていただくこととなりました。
新築から30年近い年月を経て、やっと日本でもサスティナブルな暮らしが注目される時代となりました。先駆者の思想と最新の技術、そして先進的な取り組みをご理解いただいたオーナーと共に、心地よい空間づくりにチャレンジしました。

