







東京で美容室を営まれていたお施主様は、福岡へのUターンをきっかけに新たな店舗物件を探し、本物件と出会った。「心地よく過ごせる空間を一からつくりたい」という想いから、築100年の建物を活用した美容室へのフルリノベーションを計画した。老朽化が進んでいたため、床の歪みや腐食した基礎材の補強、階段の補強など、安全性を確保しながら工事を進めた。既存の間取りは長屋特有の構成で、採光や開放感に課題があったが、水廻りの配置は活かしながらトイレと洗面スペースを一体的に計画し、ゆとりのある空間へと刷新した。土間のカットスペースについては、解体時にお施主様より「天井を抜いてみたい」という要望があり、既存天井を撤去。基礎から2階床までの高さを活かした吹抜け空間とすることで、築100年の建物ならではの構造美を感じられる、開放的な店舗空間を実現した。また、既存の土壁は全面的に隠すのではなく、一部を現しとして残しながらクロス仕上げと組み合わせることで、新旧の素材が共存する表情豊かな空間を創出している。既存の土壁や柱など築100年の建物が持つ風合いを継承しながらお施主様と対話を重ねて素材や納まりを丁寧に検討し、歴史と現代性が調和する美容室へと再生した。
BEFORE
築100年の長屋で、土壁や柱など当時の面影が残る一方、床の歪みや基礎の腐食など老朽化が進んでいた。長屋特有の細かく区切られた間取りや採光の課題もあり、既存の趣を残しながら、店舗としての使いやすさと開放感をどう生み出すかが課題となった。

