縁をほどかず、宿に編み直す

戸建  /   エリア:愛知県  /   掲載日:2026-08-27

戸建  /   エリア:愛知県

掲載日:2026-08-27

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閉ざされていた店舗に、人の気配が戻った。

この商店街は、母の実家に近く、幼い頃から歩いた、家族と先祖の記憶が重なる場所である。地元の伯父から、使われていない店舗の所有者が売却を望んでいると聞いた。それは単なる物件情報ではなく、地元から差し出された問いのように感じた。知らない事業者の手に渡り、土地の記憶と切り離されてしまうなら、この街にゆかりのある私が引き受けるべきではないか。所有したいのではない。この場所の過去を知る者として、次の使い方に責任を持ちたかった。

長年携わった不動産とリノベーションの間には大きな隔たりがあった。不動産は坪単価・利回り・手数料という数字の世界。建築・リノベーションは美しい施工事例や性能向上が前面に出る。数字だけでは魅力は生まれず、意匠や性能だけでは事業は続かない。

そこで両者を融合し、大人数が食卓を囲める一棟宿へ再生した。旅人が商店街を歩き、買い物をし、地域の日常に加わる体験と、宿として収益を生む仕組みを一体で設計した。収益性は地域再生を一過性で終わらせないための土台である。

一つの宿が街全体を変えることはできない。それでも、閉じたシャッターの向こうに明かりを灯し、訪れる理由を増やすことはできる。これは、不動産の数字とリノベーションの感性をつなぎ、地元から託された縁を「続く事業」として未来へ手渡す試みである。

BEFORE


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名古屋市内にある、かつて多くの人で賑わった商店街。時代とともに人通りは減り、シャッターが閉じたままの店舗も目立つようになった。本物件もその一角に建つ、長く使われていなかった3階建ての店舗である。

これまでにも街の再生を試みた人々はいたが、その志を継続的な成果へ結びつけることは容易ではなかったようだ。街を再生するには、地域の特性に合った手法、地元の人々の理解と協力、そして活動を持続させる収益性あるビジネスモデル。この三つがそろって初めて、再生は一過性の試みではなく、日常の営みとして根づいていく。

所有者に売却の意向があると地元の伯父から聞き、背中を押された。母の実家も近く、幼少期から歩いてきたこの商店街は、家族と先祖の記憶が重なる特別な場所である。縁のある土地で事業を営みたい。その思いから、店舗を旅人と商店街をつなぐ宿へ再生することを決意した。

Before

After

    • 部門
    • 無差別級
    • 間取り
    • 2LDK
    • 費用
    • 1200万円(税込)
    • 形態
  • 費用に含まれるもの
  • 水まわり / 居室・その他
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)

物件情報


    • 築年月
    • 1992年10月
    • 構造
    • 鉄骨造
    • リノベーション面積
    • 113.35
    • 施工期間
    • 3ヶ月間
    • 備考
    • 商店街に立つ3階建ての店舗物件を、旅館業法に基づく一棟貸し宿泊施設へコンバージョン。1階の事務所と宿泊部分は入口・動線を分離し、2階にLDKと水回り、3階に2室の寝室を配置しました。最大10名に対応し、バーを思わせるキッチンや屋外テントサウナなど、グループで滞在そのものを楽しめる機能を備えています。

CREDIT