







駅徒歩7分。都心へのアクセスに恵まれたこの住まいで、インテリアコーディネーターである施主が挑んだのは、「間取りに家具を合わせる」という常識の逆転だった。
暮らしたい家具を選ぶことから始め、ソファやダイニングテーブル、ベッド等のデザイン・寸法・配置を先に決定。そこから人の動きや視線、収納量まで逆算し、最後に間取りをつくった。家具が空間を決め、空間が暮らしを決める。そんな発想から生まれた住まいである。
グレーと木目で統一したホテルライクな空間には、玄関から直結するシューズクロークや洗面を配置し、帰宅動線をスマートに。スイッチと建具の把手の高さを揃え、収納棚のモジュールも統一することで、美しさと可変性を両立した。
構造梁は塗装して意匠として活かし、エコカラットや木製のリブパネルは施主自ら施工。「買う」「つくる」「暮らす」を自分でデザインする。
家具から始まったリノベーションが、住まいの新しいつくり方を提案する。
BEFORE
本住戸は、都心へのアクセスに恵まれた駅徒歩圏に位置する、1987年建築の集合住宅である。
既存の住戸は、いわゆる「田の字型」の間取りであり、限られた面積の中に個室を細かく配置した、当時の一般的な住戸構成であった。一方で、家具の具体的な寸法や配置、そこで生まれる人の動きまでは十分に反映されておらず、家具を置くことで空間がさらに細分化され、狭さを感じさせるプランとなっていた。
本計画では、既存の間取りを前提とするのではなく、実際に使う家具の寸法や配置を起点として住戸全体を再構成した。家具と人の動きから必要な空間を導き出し、これからの暮らしに合わせて住まいのかたちをつくり直した。

