







目指したのは、生活感を抑えながら、日々の機能を端正に内包したミニマルモダンな住まい。
高台から福岡市南部を望む眺望を空間の主役と捉え、壁や天井、建具、造作家具までをグレーを基調としたニュートラルなトーンで統一。
面の連続性を意識して視覚的なノイズを削ぎ落とし、自然と視線が窓の外へ抜ける構成とした。
既存建物が持つ特徴的な曲線や梁型も隠すのではなく、新たな意匠として空間に取り込んだ。
キッチンは設備や収納を壁面に集約し、アイランドを端正なボリュームとして配置。
収納も建築を構成する面として捉え、垂直収納扉の内部にワークスペースを納めるなど、必要な機能を確保しながら、その存在を空間から消している。
照明は均一な明るさではなく、光と陰影によって奥行きをつくる計画に。
玄関から廊下、LDKへと進むにつれて光の表情を変え、昼は自然光がグレーの濃淡を描き、夜は照明と窓外の景色が静かに呼応する。
一方で、すべてを無機質に整えるのではなく、木の質感や家具、アートをアクセントに。
機能と意匠の境界をなくし、室内を整え、光を整え、視線の先に景色を残す。
大切な人との日常と高台からの風景が穏やかにつながる、暮らしの背景として静かに佇む住まいへと生まれ変わった。
BEFORE
既存の住まいは4LDK。
部屋数は十分である一方、使い切れていない個室や分散した収納によって、空間を有効に生かしきれていなかった。
そこで、既存の間取りに暮らしを合わせるのではなく、二人の生活そのものを起点に住まいを再編集することにした。
プランの軸となったのは、「家事がしやすく、もっと生活しやすいように」というご主人の奥様への思い。
日々の動きを丁寧に読み取り、独立性の高かったL型キッチンをLDKの中心に据えたアイランドキッチンへ変更。
回遊動線をつくるとともに、使われていなかった個室や分散した収納を整理し、必要な場所へ機能を集約した。
さらに、高台ならではの眺望を住まい全体で享受できるよう、視線の抜けと空間の連続性も重視。
動線、収納、視線を整え、大切な人が心地よく暮らせる住まいへ。
それが、このリノベーションの出発点となった。

