建築ストックの価値は、築年数と立地だけで決まるのか。

その他  /   エリア:静岡県  /   掲載日:2026-08-25

その他  /   エリア:静岡県

掲載日:2026-08-25

いいね!と思ったら、
ハートをクリック! 20

renovation image

若い観光客や外国人の往来が増え、海・山・温泉・レトロカルチャーの街として再び注目を集める熱海。その多様な魅力を読み解き、次なる滞在拠点として形にしたのが「ACCESS BASE ATAMI」である。地域の診療所をコンバージョンし、3つの客室を備えた本施設は、豊かな自然とレトロな文化が徒歩圏内にある熱海の特性を活かし、多様な目的を持つ人々が心地よく過ごせる空間を創出した。

既存の鉄骨躯体を活かしながら、耐火・防火・避難計画を再構築し、用途変更を実現。改修を単なる表層の刷新ではなく、法適合、事業性、地域性を一体として再構築する行為と捉えた。

内装のテーマは「レトロ熱海」。懐古的な装飾にとどまらず、旧市街や商店街に息づく時間の流れを滞在体験へと取り込み、旅の起点として街への回遊を促す。通過型観光から、街に根を下ろす滞在型観光へのシフトを目指した。

宿泊施設の価値は、運営だけで持続するものではない。宿泊者、地域、不動産オーナー、施工者が共感できる価値を生み、それが経済的にも持続する循環をつくることが重要である。「壊さず、地域とともに価値を育てる」。本計画は、好立地の既存ストックを地域との関係性を育みながら長期的な資産へ転換する、アセットマネジメント型再生の実践である。

BEFORE


before image

坂の街、熱海。熱海駅横のレトロなガードを抜けると、桃山坂が始まる。その起点に佇む、かつての診療所との出会いから本プロジェクトは始まった。
細い路地に古い擁壁、側溝の隙間から時折立ち上る温泉の湯気。坂道の一方通行道路で、路肩に車を停める場所もない。施工には難しい立地だったが、そこには熱海らしい風景と大きな可能性があった。
計画に先立ち、街の歴史や文化、四季、熱海で働く人や暮らす人、移住者らとの対話を重ね、人の営みを知る中で、この場所にふさわしい滞在の形を模索した。
目指したのは、既存建物を安価に改修してホテルへ転用することではない。必要な部分には適切な投資を行い、熱海ならではの非日常性と安らぎを備えた空間へ再生すること。
本プロジェクトは、地域との関係性を読み解き、アセットとファイナンスを融合させながら、既存躯体や用途転換の可能性を引き出し、新たな価値として再定義する実践である。

Before

After

    • 部門
    • 無差別級
    • 間取り
    • 一棟まるごと
    • 費用
    • 8000万円(税込)
    • 形態
  • 費用に含まれるもの
  • 家全体 / 水まわり / 居室・その他 / 屋外 / 断熱改修 / その他
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)

物件情報


    • 築年月
    • 1997年3月
    • 構造
    • 鉄骨造3階建
    • リノベーション面積
    • 237.02
    • 施工期間
    • 8カ月
    • 備考

CREDIT


  • 開発・所有・企画・施工   株式会社ネットプラザ 美山 資薫  松原 正和
  • デザイン・設計       株式会社rezotto 待井 大輔
  • 事例撮影          スタジオデジタル ビッグ28 田中 寿治    資材・施工協力(順不同)
  • 株式会社ジューテック    株式会社舞工房     森定興商株式会社    株式会社ユニソン   
  • 株式会社ウラシコ      株式会社谷元工業(&.FeDesign)         株式会社菊間材木店   
  • セキ株式会社        合同会社笑う烏社    株式会社山田工業    トヨハシサッシサービス株式会社