







「すみか」とは、単に人が住むための家ではない。人とモノがそれぞれの居場所を見つけ、時間とともに暮らしが積み重なっていく場所である。本計画では、築35年のマンションを、3人の家族とたくさんのモノが心地よく共存できる「すみか」へとリノベーションした。
施主の暮らしは、一期一会で迎え入れた植物、好きなアーティストのグッズ、旅先で出会った思い出の品など、多くのモノによって形づくられている。しかし、それらは収納の中にしまうものでも、ただ並べて飾るものでもない。人と同じように、モノにもそれぞれの居場所があると考えた。ここでは、2.4mの天井高を活かしながら、空間の中に大小さまざまな「人とモノの居場所」をつくった。日当たりがよく植物を愛でるインナーバルコニー、アーティストのグッズや旅先で購入したポスターを並べる窓上の庇、季節を彩る飾り物や切り花を置くニッチ。そして、コーヒーを片手に子どもが遊ぶ姿や山々を眺める小上がり。またインテリアも50万/坪ほどの限られた予算の中であえて作り込みすぎず、将来の「人とモノの居場所」を受け止める手掛かりとした。例えば小上がりは子供の遊び場から、鴨居にカーテンをつければ客間、建具で仕切ると子供部屋にもなる。完成された家ではなく、これからの暮らしを受け止め、重なっていく「すみか」。人とモノが居場所を見つけるたび、この「すみか」はまた少しずつ豊かになっていく
BEFORE
長野県にある4LDKのマンション。都心とは異なり、発展途上にある地方マンションのリノベーションに新たな可能性を示したいと考え、この物件を選んだ。西側に一室が張り出した変則的な間取りだったが、リビングと和室を隔てる間仕切りを取り払うことで窓を連続させ、大きな開口を確保できる点が購入の決め手となった。築年数による水回りの老朽化の払拭と、これから先も長く暮らせる住まいをつくることが課題となったが、水回りはPSの近くに集約し、LDK・フリースペース・寝室など将来的に変化する可能性の高い空間は作り込みすぎず、暮らしの変化に応じて柔軟に変更できる構成とした。

