竹と馬

その他  /   エリア:福島県  /   掲載日:2026-08-23

その他  /   エリア:福島県

掲載日:2026-08-23

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renovation image

ある日マスターから篤へ「ペガを引き継いでくれないか」と話があった。
「まんま作る人でねぇとダメなんだ…」その言葉に地域を思う気持ちを察した私は、理屈抜きで篤がやるべきだと感じた。私は即座に「ペガなら父の仕事だからいじり易い」と話すと、考えを一変させた篤。彼の中にも何か通ずるものがあったのだろう。こうしてペガを継承し、兄弟のリノベーションが始まった。「どんな空間になるのだろう」そんな周囲の期待を受けながらも、大きく変えようとは思わなかった。マスターが築いたものを残したかったのだ。最も印象深かったのがカウンター席。長年マスターが立ち続けたペガの象徴だ。この形はそのままに篤の料理に合わせて仕上げを更新した。また「個室風の座席がほしい」という要望には、あばれ山車の櫓をイメージした空間で応えた。開店直後、その店内をマスターに見てもらいたかったが、それは今後叶わなくなってしまった… 何とも数奇な運命に言葉もなかったが、新店名を思案中に「篤の竹と馬をいれては?」と言ってくれたマスターの表情が忘れられない。嬉しそうで少し寂しそうでもあった。しかし、篤にとって自分の名を入れるのは気恥ずかしかったのか、最終的には篤夫妻の好きな花から「旬菜 紫陽花」となったこの店。マスターのように地域に愛される店になってほしい。いつか、マスターが覗きに来たときは『おい、よくやったな』なんて言ってもらえるように…

BEFORE


before image

私がまだ中学生の頃、父の仕事を手伝い竣工建物のガラス拭きをしていた。その建物は30年前に開店した「ペガ」。私の父が、同級生(以下マスター)のために手掛けた地元飲食店だ。こだわりの料理で知られたこの店は、地域の催しにも使われ、飲食を通じて人が集う場であり続けてきた。しかし時が流れ、この店も一つの節目を迎える。年齢的な理由から、マスターが引退を決意したのだ。その噂が回るのは早く、食を支えてきた場所がなくなってしまうのでは?という不安が地域によぎっていた。一方、市街地の飲食店で働く弟の篤は、いつか独立したいと考えていた。店舗を構えるため相談を受けた私は「地元なら安い物件がある」と伝えたが、篤の答えは早かった。「地元では絶対にやらない」集客も採算も見込めないというのが理由だった。しばらくの間、市街地で物件を探し続けたが、希望どおりに改修すれば費用は予算を大幅に上回り、話は半ば諦めかけていた…

Before

After

    • 部門
    • 無差別級
    • 間取り
    • 飲食店
    • 費用
    • 1420万円(税込)
    • 形態
    • 自由設計リノベ
  • 費用に含まれるもの
  • 居室・その他 / 屋外
  • 施主支給設備(費用に含まれないもの)
  • 厨房用品・食器・設備(故障のないもの)はペガのものを利用

物件情報


    • 築年月
    • 1995年4月
    • 構造
    • 木造
    • リノベーション面積
    • 179.95
    • 施工期間
    • 2か月
    • 備考
    • あばれ山車:毎年10月第二週日曜に開催される地域の祭典
      まんま:ごはん・食事のこと

      ※メイン画像は店舗の継承が決まった時の集合写真です。また、「before」の注記がない写真はすべてアフターの写真です。

      [登場人物の紹介]
      マスター:前店舗「ペガ」のオーナーで私の父の同級生。(メイン画像右から2番目)
      篤(あつし):ペガの後継人で私の弟。新店舗「旬菜 紫陽花」のオーナー(メイン画像右端)
      私:篤の兄。当該リノベーション設計・施工を担当(メイン画像左端)

CREDIT


  • 設計・施工:齋藤工匠店 伍代目 斉藤 守平