







明石の市街地に建つ鉄骨3階建て。二世帯で使われてきた家を、家族4人の暮らしへ住み継ぐリノベーションである。
手狭さの解消に、それぞれの広い個室を——と空間を細切れに区切れば、限られた階数と面積では、すべてが中途半端になる。発想を反転し、2階の全フロアをLDKに充て、住まいの〈面積と質〉をここへ集中させた。駐車場と玄関だけだった1階へ浴室を移設して洗濯室を新設し、個室はすべて3階へ。建物全体の役割を編み直した。
もうひとつの柱が収納である。以前は1フロアに家族4人分の家財が押し込まれていた。今回はウォークスルーパントリー、LDKの家具収納、各個室のクロゼットと、動線上に十分な収納量を配置。個室の広さより収納容量を優先したのは、家族が集まるLDKの〈静けさ〉を守るためだ。生活の情報量が表に出ない空間では、互いに過度に踏み込まず、しかし気配はゆるやかに繋がる。同じ場にいながら、それぞれが読書や仕事、会話を楽しめる。干渉しない。でも、ひとりにしない——その距離感を、間仕切りではなく、空間の奥行きと光と収納で設計した。
親の住まいを子世帯が受け継ぐ場面は、全国で増えていく。個室を増やすのではなく、集まる場に投資する。それが、住み継がれた家をもう一度「家族の家」にする方法だと考えている。
BEFORE
二世帯住宅として建てられた鉄骨3階建て。各階が世帯ごとの役割で固定され、細かく仕切られた間取りは、4人家族がともに過ごす場を持たなかった。1階は駐車場と玄関のみ。家財は3階の1フロアに押し込まれ、収納の不足が暮らしの表面にあふれ出していた。躯体は健在で立地も良い。しかし「家族の家」としての骨格は、まだこの建物に与えられていなかった。

