どうやら名古屋では、中心部の新築タワーマンションが東京や関西ほど人気を集めないと言われているらしい。
その理由は、ちょっと郊外に出れば、手ごろな中古マンションや戸建てが手に入りやすい土地柄にある。
だからこそ、実現したのが、中心部からわずか数駅の場所に広がる、全長4mを超える造作ステンレスキッチンを備えた住まい。
「家は資産として」ではなく「暮らしを豊かにする場」としてのリノベーションは、
単なる憧れではなく日常であり、料理も趣味も仕事も自然に交わる空間だ。
会社員とカフェ店員として働きつつ、プライベートではDJとダンサーとしても活動する二人。
そんな二人が求めたのは、二人の感性が息づく、自分たちをも招かれたくなるLDK。
4m超のステンレスキッチンは迫力と機能性を兼ね備え、料理の場を超えて仲間が自然と集まる「ハブ」に。
一続きにつながるワークスペースやDJブースは、会話・仕事・音楽を繋げる。
LDK空間のアクセントとして選ばれたのがオレンジ。
黄緑やマスタードイエローとも迷ったが、最後に心が惹かれたのは「ごはんが美味しそうに見える」「気持ちがふっと元気になる」、あのあたたかな感覚。
二人の暮らしと人を招く時間を自然に結び、オレンジのあたたかな波長が混ざり合う空間。
ここでは誰もがそんな暮らしを実現できる、そんな気がする。
BEFORE
出会った物件は駅近という好条件ながら、1階という理由で価格が手ごろな“掘り出し物”。既存でリフォームされていたトイレは活かしつつ、コストを最適化しました。
ただし、リノベ前のキッチンは壁付けで孤立感があり、作業中はリビングと切り離されがち。リビング・ダイニングも直線的で硬い印象が強く、趣味やコミュニケーションを楽しめる余白はありませんでした。二人の暮らしや感性をのびやかに映すには、少し窮屈な空間でした。