多くの人が選ぶ、新築の建売住宅。
それは、暮らしの器として十分に機能的ですが、ともすると無個性な空間にもなりがちです。私たちは、その家が秘めていたポテンシャルを見つけ出し、暮らしに寄り添う彩りを加えていく視点で、このリノベーションに臨みました。
大掛かりな間取り変更は行いません。代わりに、私たちはいくつかの要素を丁寧に「プラス」していきます。
ライティングレールとスポットライトが豊かな陰影と奥行きを与え、壁の深緑タイルはリビング建具の色と呼応して空間のアクセントに。視線を緩やかに遮る室内窓は、単調だった空間に心地よいリズムを生み出しました。
さらに、ご夫婦の個性を映し出す工夫も随所に。機能本位だった洗面台は、お二人の「好き」を詰め込んだ造作仕様に。単なる収納だった2階のストレージは、趣味を満喫するための特別な書斎「BOOKROOM」へと姿を変えました。
ご夫婦の「好き」が詰まったアートや家具が加わると、そこにはもう、殺風景な家の面影はありません。
600万円という現実的な予算で、建売住宅は夫婦の個性が豊かに映し出される空間へと生まれ変わりました。
BEFORE
お客様は当初、カジュアルなデザインの住まいを目指し、中古物件を購入して自分好みにリノベーションすることをご希望でした。
しかし、希望エリアは新興住宅地で条件に合う物件が見つからず、ご予算との兼ね合いから新築の建売住宅をご購入されました。
「悪くない、でも心から好きとは言えない。」
機能的には十分でも、自分たちらしさに欠ける。そんな建売住宅が持つ正直な「物足りなさ」が、私たちのスタートラインでした。
その想いを叶えるため、私たちは全てを壊すのではなく、新築の良さを活かしながらご夫婦の「好き」を一つひとつ丁寧に「足し算」していく、賢い「編集」という手法を選びました。