四角いRC の箱が立ち並ぶ都市の中で築18 年のRC 造の店舗併用住宅の上にS 造の小屋を被せるプロジェクト。
鉄骨の基礎の形成のために躯体をはつり、鉄筋を差し込み、再度RCを打ち直すことで既存躯体と一体性を持たせる計画とした。
小屋は鉄骨造の斜材や三角形の面でつくることで、多面体の安定した構造を生み出す形として屋上に現れる。
追加した鉄骨の重量を既存屋上の床を抜いた重量で相殺するよう計画している。
既存のRC 躯体が持つ水平垂直のがっしりした梁・柱の世界観に、3-4F では軽やかな鉄骨造がもたらす水平垂直以外の屋根性を感じる木で仕上げた天井面が立体的な印象を形作っている。こういった対比的な構造をまたぎ、テーブルと一体となった大きなカウンターや床仕上げ、階段が生活にのびやかな印象を与える。
屋上であった部分に軽く立体的な鉄骨を追加することで、RC 造とは対照的な開放性を持った内部空間が生まれる。
また、多種多様な活動が行われる都市の中での生活を建築で支えられるよう、各世帯が閉じるのではなく、上下階を往来しながら共に生きていくための形とした。
親世帯が建てた建築を子世帯が生活に合わせて更新していく。さらに次世代が更新して住み継いでいく可能性も秘めたプロジェクトである。
BEFORE
当時築18年のRC造のビルの1階が美容室、2-3階が住戸の店舗併用住宅であった。
もともとは店舗+施主の3人家族が住む建築だったが、子世帯と親世帯、6人が一緒に居住するため、この改修を期に自営業だった美容院をやめ、住戸への改修を行った。
また6人での生活に対し、面積が足りなかったところを余裕をもった面積とするため、余剰の容積率を使って縦に一体増築を行う計画とした。
都市の中に住まうことがどのようなことなのかを模索しながら計画を行った。