【設計・デザインの経緯】
1987年に建てられたこだわりの住まいを新たな家族・世代 に住み継ぐために全面的なリノベーションを実施。
「家族の歴史を刻んできた、家全体を縦に繋ぐ階段に補強や補修を行って、そのまま残したい」という設計コンセプトからデザインを発想。内装は既存の吹き抜け階段(チーク)に調和するよう低彩度で色味を抑えた内装材を選定、額縁や造作家具等は塗装や補修を行い、再活用。
【間取りの工夫】
構造躯体に配慮しながら、間仕切りを減らした開放的なプラン、外から光を取り入れる工夫を随所に施した。
暗い1階から、光が入り視線が抜ける2階にLDKを移動し、中庭やバルコニー、吹き抜けに囲まれた明るい空間に。
中庭にはシンボルツリーを植え、各寝室やリビングに光を取り込める空間とした。
古き良きものを大切にしながら、30年以上経過して変わった住環境や生活スタイルに柔軟に対応し、次世代がより住みやすいように住空間を再構築。吹き抜け階段という縦の繋がりを介して、光が家全体に柔らかに差し込み、風が循環し、家族の気配をどこにいても感じられる自然な交流を大切にした住宅へと生まれ変わった。
BEFORE
【リフォーム前】
設備や内装材の老朽化が進み、1階に配置されたLDKは、通風・採光ともに十分とは言えない状態。特にキッチンは独立キッチンで、閉鎖的で暗い印象。敷地の南側には新たに3階建ての住宅が建ち並び、周辺の住環境が大きく変化したことで、1階への日照が大きく遮られるように。
その結果、室内全体が暗く、快適性が損なわれている状況だった。
建物自体はRC構造で性能的には問題なく、室内の一部造作材は補修等で再利用が可能な状況と判断した。
1FにLDK・応接室・和室等のパブリックゾーン
2Fに寝室と水廻り等のプライベートゾーン